車山山頂から、秋風が、仄かな穂の香をともない、吹き下りてきます。
黄金色に稲熟した、穏やかに心癒える山里の風景です。
茅野市米沢の、刈取り間近な稲田がまぶしい!

 前方の車山の南山麓に湧き出る、大規模な伏流水・「大清水湧水」を活用して、米沢では、稲作や新鮮な野菜・花卉の栽培が盛んです。晴天率が非常に高く、日照時間が長いという環境の恵みもあります。
 光を十分に吸収した葉緑素が、光合成を行うことにより、デンプンを作ります。
 米沢のように、晴天が続き、夜涼しい気候で、稲が育つと、日中に作られた養分は安定的にうまみ成分となって実に蓄積され、美味しい「お米」になります。
 昼と夜の「寒暖差」が、特に重要なのです。昼間暑い間に養分を作り、夜寒くなると、その養分を実に回します。
 寒過ぎると植物は枯れてしまいます。その危機を察知し、子孫を絶やさないために、植物は種子を充実させようとします。それで、昼暖かく、夜寒い地方の「お米」が美味しいのです。
 最も重要なのは稲の開花後、約30日間の登熟期間の気温が、「お米」の味を決定づけます。この期間、平均気温25~26℃が理想的な気温となります。
 この車山南麓の高原では、稲穂の登熟期間、昼間の気温が30℃を越えたり、熱帯夜になることは想定できません。
 この環境下で、米沢の高原台地で、丹精込められて作る「お米」は、一層美味しくなります。江戸時代、「信州諏訪高島藩主、お殿様の御膳米」として献上されていました。「一粒選り」でしたから、なおさら美味であったでしょう。
「千鹿頭神社御由緒書写」には、諏訪大社の神田として献上されていたと記されています。