江戸時代に諸国266藩から将軍家への献上物は、季節ごとに献上品が定められていました。そのうち蕎麦は、今も名産地とされる土地の9藩から献上され、夏の土用蕎麦としては「暑中寒晒蕎麦」を、信濃国伊那郡高遠藩と信濃国諏訪郡高島藩の2藩が献上していました。高い技術が必要で、かなりの高級品であったようです。
秋に採れた玄蕎麦の実を袋に入れ、厳寒期(寒中・大寒から立春まで)の冷たい清流に浸し、それを引き上げ戸外の天日と寒風に晒しながら約1ヶ月かけて乾燥させていく。土蔵で夏までゆっくり熟成させる。この「特別な蕎麦」こそ、当時の信州蕎麦の最高位に位置づけられる名産品であったようです。
地元の農家、製粉企業、蕎麦店が、一体となった復活させた「こだわりの手打ち蕎麦」です。
「寒晒蕎麦」は、蕎麦の実の真ん中の部分を取り出して打った贅沢な蕎麦です。アクが抜け舌ざわりが良く、甘みのある純白な味わいの蕎麦になります。麺がシコシコ・モチモチとした食感が味わえ、粉っぽさがなくなり、茹でてもその白い色は変わりません。