「薺(なずな)」は「撫菜(なでな)」が正しいと思い込んでいます。
「菜(さい)」の意味には、「葉・茎・根などを食用にする草」すべてを含みます。春の七草の一つであり、アブラナの仲間で、諏訪の平では、冬の最初に授かる野草として、古代から貴重な菜花でした。
副食を「前菜(ぜんさい)・総菜(そうざい)」、総菜には「菜種・青菜・油菜(あぶらな)・水菜・若菜」があります。加えて「菜っ葉」・「油菜」・「サラダ菜」など、葉・茎を食用とする特有性を示します。
与謝蕪村は、「妹(いも)が垣根 三味線草の 花咲きぬ」と詠みます。
「ナズナ」の実が、三味線の撥(ばち)に似ているから、「ナズナ」を「三味線草(しゃみせんぐさ)」と呼ぶのです。情感に乏しいですね。「ナズナ」の実は、ハート形をしていますから、三味線の撥と見られても当然です。となれば、「ペンペン草」は、三味線の撥が弾く音から連想されたのかもしれません。
「ナズナ」は一年または二年草で、草丈は10~70 cm位になり、切れ込んだ根生葉は、ロゼットで越冬します。そのため、カンゾウやフキノトウと同じ時期、雪解けの最中に直立した花茎を出し、4花弁の白い十字形の花を総状花序に付けます。
開花期の全草を水洗い後、日干ししたものが生薬セイサイ(薺菜)またはセイ(薺)といいます。目の充血には煎液を人肌に冷ましてから脱脂綿に含ませて洗眼すると良いと言われています。