6月、車山の眺望が美しい西白樺湖一面に展開する黄一色に染まる5弁のアザサの花の大群落と、9月下旬、白樺湖周辺を見事に彩る黄金アカシヤの色素は、カロテノイドの色素に染まったとみられます。紅葉の季節になると、赤・黄・緑を中心に、いろいろな色調が混在して、それぞれの地域の特徴を演出します。紅葉現象は主に落葉樹に見られ、一般に3種の色素、葉緑素(クロロフィル)・カロテノイド色素・アントシアン色素の量比によって色調が変わると考えられています。
 ハルニレ(春楡)は、日本産ニレ科の落葉広葉樹で、樹高は30mにもおよび、日本産のニレ属樹木としては最大です。下枝が少なく比較的太い位置から幹を分岐させ、その樹形はニレ科ケヤキ属のケヤキによく似ています。樹皮も灰色っぽい褐色で、ケヤキの樹皮に似ていますが、ケヤキの木肌は比較的平滑なのに対し、ハルニレは縦に深く裂けたりして荒れた感じがします。
 ハルニレやケヤキは、秋の黄葉が美しい樹木です。同じ樹種であっても色が異なり、時には紅葉し、あるいは同じ樹木の中で美しく入り混じることもあります。ブナ科のミズナラでも、遠目にカエデの紅葉と見まがうものもあります。