リンゴ「ふじ」の花が蕾のとき、花びらの先端は淡いピンク色に染まっています。
花が開くと、花びらは際立った純白となり、美しい光輝を放ちます。
ピンク色なのは、花びらの裏側だったのです。
緑の新葉の輝きも空しく、重量感が際立つ、染み一つない清麗な白い花々が、互いの美しさを意識しあいながら咲き並び、ようやく訪れた早春の陽射しを優しく照り返します。
その背景にあるのが、新緑が畳(たた)づく筑摩山地です。

筑摩山地は、信州のほぼ中央部にあって、諏訪から松本、そして犀川の右岸流域の長野までに及ぶ、信州を東西に分かつ山地です。
諏訪地方の昼夜の寒暖差の厳しさが、本来の甘さに、更に糖度を加えていくのです。