![]() 海水の熱塩循環
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1)北極温暖化増幅 気象学の多くの専門家は世界で頻発する熱波や豪雨、旱魃といった北半球での「極端気象」は、北極園の温暖化がもたらす偏西風の蛇行が大きく影響していると指摘する。北極海の海氷の下に蓄えられている熱量は1999年から2020年までの21年間で約1.8倍に増えたと、北大や東京海洋大学の研究グループが発表している。地球温暖化の影響で太平洋側のベーリング海から流入する海洋水の温度が上昇していることに加え、海流が変化したことが要因という。また、太平洋起源の熱量が増えたことに加え、ロシアシベリア北東部チュクチ自治管区とアメリカ合衆国アラスカ州北西部にかけてのチュクチ海域に向かう海流が強まることで北極海の海氷下の蓄熱量が顕著に増加するというメカニズムがはっきりした。 特に水深約 30~100mにある「海洋亜表層」の蓄熱量が大幅に増加していることが判明した。蓄えられた熱が海氷の下で「床暖房」のような役割をしながら、海洋亜表層での蓄熱を長期的に進行させており、北極海の海氷を激減させる引き金となる恐れがある。しかも、北極域では地球全体の平均よりも速い速度で温暖化が進んでいる。 この現象は「北極温暖化増幅」と呼ばれ、氷や雪が溶けることで海氷表面の反射率が低下し、その海氷面積の減少により、日射の反射率albedoが低い開水面が多くの熱を吸収する。その海洋の蓄熱よって海氷融解が加速されという正のフィードバック効果によって北極海は温暖化が加速する。このフィードバック効果は甚大で、世界が温室効果ガスの削減対策が急務で、最悪2050年に北極海の海氷がなくなると予測されている。 (カナダの北岸に接するチュクチボーダーランドはロシア領で、ロシアの極東と呼ばれる、具体的にはチュクチ半島に附属している。そのチュクチ自治管区は、ロシア極東連邦管区の北東端に位置する。同時に、ユーラシア大陸の最北東端でもある。北極海に面し、チュクチ族などの先住民族が居住する地域でもある。ロシア帝国VSチュクチ人は、その長きにわたる熾烈な戦いがあった。 ロシア人とチュクチ人は、シベリア北東部のロシアのサハ共和国を流れる川アラゼヤ川の近くで1642年の夏に遭遇したという情報があるが、最初の接触は、おそらくそれ以前に起きていたようだ。 チュクチ人は、自分たちを「本当の人間」とみなしていた。彼らが自ら名乗る民族名「ルオラヴェトラン」はそういう意味だ。彼らは、すべての隣人は「二流の生き物」にすぎぬと考えていた。当然、ロシア人もそう見ていた。コサックの「大鎌」は、チュクチという硬い石にぶつかった。」) プラネタリー波 プラネタリー波Planetary wave(惑星波)、ジェット気流、そして偏西風は、地球の大気循環において非常に重要な役割を果たす現象で、それらは相互に密接に関連している。偏西風は、赤道付近が太陽によって温められ、低気圧が形成され、赤道付近で上昇した空気が北上するにつれ重くなって下降し、その際地球の自転に起因するコリオリ力を受け、北半球で北上する風は、西→東への風向きに変わることで周囲の空気が流れ込み、恒常的に偏西風が生じる。つまり、地球の自転と温度差がその原動力となる。この風は、北緯および南緯30〜60度の地域で恒常的に流れ、時には蛇行することもある。また、より気温差の大きい冬には、より風が強くなる。 プラネタリー波は、地球の大気における大規模な波状の動きであり、地球の回転や大気層の構造により生じる。これらはアメリカで活動した気象学者ロスビーが発見したのでロスビー波Rossby waveとも呼ばれ、中緯度の偏西風帯で励起され、大気中を西に進んで、1日程度で地球を一周する波で、波長は数千kmにもなる。コリオリ力が高緯度ほど大きくなる効果で、1日以上の時間スケールの気象の変化に重要な影響を与える。 中緯度上空を流れる偏西風は、ときおり大きく南北に持続的に蛇行することがある。この蛇行が持続すると、気温や降水・降雪が平年とは異なる状態が続く。この偏西風の蛇行が異常気象をもたらす重要な要因の一つとなる。この蛇行が高緯度側にひときわ大きく起こっている場所ではブロッキング高気圧が形成される。偏西風の蛇行をもたらす要因の一つは、ロスビー波と呼ばれる大規模波動のエネルギーが伝わってくることにある。このロスビー波がエネルギーを東へ伝え、遠く離れた地域にあらたな偏西風の蛇行をもたらす。 例えば、2003年の夏季に北欧に現れた蛇行は数日後に日本にまで到達し、日本は冷夏に見舞われた。プラネタリー波は、偏西風ジェット気流の流れを歪め、蛇行を引き起こす。この蛇行が気温変化や気象現象に大きく影響した。 2005年12月、日本の北方オホーツク海上空に、通年では1か月平均では日本上空を偏西風が西から東へ素直に流れているのに対し、ブロッキング高気圧が見られた12月2日には、その高気圧の周りを回るように低気圧の偏西風が大きく上空の高気圧の上を時計回りに蛇行している様子が観測された。ブロッキング高気圧が見られた時の上空の暖かい風の流れに、寒い低気圧の流れが上の高気圧の中にへ時計回りに流れ込み、更にその上空の寒気もさらに誘い込んだ。 2005年(平成17年)の冬は12月を中心とした記録的な低温と、各地での記録的な大雪によって、強く印象に残る冬となった。各地で大雪に伴う災害が多発し、近年の暖冬傾向に慣れた体に、冬の厳しさを改めて実感させられた。 『平成18年豪雪』とは2005年(平成17年)12月から2006年(平成18年)2月にかけて日本で発生した豪雪であった。 平成17年12月から平成18年2月にかけての大雪は、 『平成18年豪雪』と気象庁が命名し、この平成の大豪雪では、青森県青森市や新潟県津南町で400cmを越える積雪になったほか、死者152名を出す大災害となった。 プラネタリー波は、収束した空気を上昇させる性質を持ち、この上昇気流が雲を形成し、雨や雪をもたらす。特に、この低気圧の上昇気流が非常に強力で、広範囲にわたる降水や暴風を引き起こした。低気圧はその規模によって影響範囲が異なるが、中規模の低気圧でも、数百㎞にわたることがあり、大規模なものでは数千㎞に及ぶ。 ジェット気流は、高度10km前後の対流圏に存在する、強い風の帯である。ジェット気流は通常、東向きに流れ、偏西風の一部として考えられる。この気流はプラネタリー波の影響を受けて、その速度や方向が変化する。ジェット気流の蛇行は、寒気や暖気を各地域に運ぶ役割も果たす。 偏西風は地球の中緯度地域で主に見られる風の流れで、地球の自転(コリオリ効果)と温度差により発生する。ジェット気流も偏西風の一部であるが、偏西風もプラネタリー波によって影響を受け、その流れが変化する。 プラネタリー波がジェット気流を蛇行させることで、寒気や暖気が異なる地域に運ばれる。これにより、気候パターンが形成されることがある。偏西風はジェット気流と連携し、大気中のエネルギーと運動量を輸送する。プラネタリー波は偏西風の流れにも影響を与え、安定した流れを乱す。これらの現象は、地球の気候システムを理解する上で重要であり、気候変動や長期的な気象予測にも深く関わっている。 北極域では地球平均の3倍の速さで温暖化が進んでいるとされる。その北極域の温暖化により、北極と中緯度地域との温度差が小さくなると、偏西風の蛇行を引き起こす可能がある。この変化により、ジェット気流が弱まり、その流れが不規則になる。特に、ジェット気流の蛇行が短期的に増幅し、寒気が中緯度地域へ流れ込むことで異常気象が発生する。こうした現象には、地球温暖化の進行や北極域の環境変動が複合的に影響している。また、この蛇行は、寒気や暖気を通常の位置から移動させ、極端な気象現象、例えば、寒波や熱波を引き起こす。また偏西風の蛇行は、地球規模の大気波動(プラネタリー波)の増幅にも関連している。これにより、ジェット気流が蛇行し、異常気象が発生することがある。 ロスビー波 ロスビー波は、極地の空気が赤道に向かって移動し、熱帯の空気が極方向に移動するときに形成される。赤道と極地では、受ける太陽放射の量の違いによる温度差が大きい。例えば、低緯度では熱い空気は軽いため上昇し北上するため、高緯度では冷たい重い空気が下降し南下する。熱帯の空気の熱は極方向へ運ばれ、極地の冷気は赤道に向かって移動する。これは断片的な空気の動きによって達成される。これらの波の存在が、中高緯度の天候を形成するのに.重要な低気圧(サイクロン)と高気圧(高気圧圏)を発生させる。地球が自転することで、空気や水の流れは偏向する。この回転によって生じる力を「コリオリ効果」と呼ぶ。ロスビー波はこの力を受けて、波のような動きを見せる。 地球の表面は海や陸地が複雑に入り組んでいる。それにより大気の密度や温度は場所ごとに変わる。このため、大気中の渦の流れは波のようなパターンが形成される。その大気中の渦度(回転の程度)は、物理法則に従って保存される傾向がある。つまり、空気の渦の流れが地球の回転軸に沿って曲がったりねじれたりするとき、その動きを調節する力が働く。これがロスビー波の形成と伝播を助ける。 ロスビー波は、気象学の分野で重要で、天候パターンや気温の移動にも影響を与える。この波の特徴は、熱やエネルギーを低緯度から 高緯度へ効率的に運ぶ役割を果たしていることにある。 ジェット気流は、高度約10〜15㎞付近の対流圏上層部と成層圏下層部に見られる、極めて速い風の速度である。そのジェット気流は、温度差と大気の循環によって形成される。赤道付近の空気が暖かい一方、極地方の空気が冷たいため、高度の異なる場所で気圧差が生じ、この気圧差が風を形成し、ジェット気流を引き起こす。地球の自転によるコリオリ力で、風が特定の方向に曲がり、結果的に西から東への高速流となる。ジェット気流の形成やパターンには、ヒマラヤ山脈などの巨大な山岳地形は、空気の流れを変化させ、ジェット気流の経路を歪めることがある。また季節ごとに温度差が、ジェット気流の強さや位置を変化させる。 例えば、冬には温度差が大きくなり、ジェット気流がより強くなる。冬になると北極周辺の寒気が強まり、南側の温暖な空気との温度差が拡大する。この温度差は対流圏の上層で顕著になる。気温差が拡大すると、気圧の変化率、つまり気圧傾度が急になり、これにより、空気を強く動かす力が生まれる。 地球の自転により、動く空気が偏向すると、この影響で、東向きのジェット気流が形成され、その速度が増す。冬の間、特に北半球では、温暖な空気と寒冷な空気の境界線が明瞭になり、この境界線に沿ってジェット気流が強く流れる傾向がある。 ジェット気流は飛行機の航路にも影響を与え、燃料効率や飛行時間に影響を及ぼすことがある。 ロスビー波の動きを例としてのジェット気流の蛇行は、ロスビー波が、北半球のジェット気流に蛇行を引き起こし、この蛇行によって、暖かい空気が北に移動し、冷たい空気が南に移動することで、広範囲の気象パターンを変化させる。例えば、冬季にアメリカ中西部で発生する厳しい寒波や、ヨーロッパでの異常な高温は、ロスビー波によるジェット気流の変化が関与していることがある。 ロスビー波は大型気象現象、例えば台風やハリケーンの進路にも影響を与える。この波の影響でこれらの現象が予期せぬ方向へ動くことがあり、予報が複雑化する。南半球でもロスビー波は、異常気象を引き起こす原因になっている。例えば、オーストラリアでの記録的な乾燥や、南アメリカでの豪雨などもその例である。 ロスビー波の動きを研究するためには、コンピュータシミュレーションが広く活用されている。理想的大気モデルとして、シミュレーションは、地球全体を球体としてモデル化し、その上で大気循環の物理法則を適用してロスビー波を解析する。実際の気象データを入力することで、波の形成や伝播を高精度で再現し、未来の天候パターンの予測に役立てている。気象学者はこれらのシミュレーションから、気候変動の影響でロスビー波の振る舞いが変化する可能性についても分析を進めている。例えば、振幅が増大することで極端な天候が増える可能性が指摘されている。 https://www.cnn.co.jp/usa/35223956.html 極方向に伝播する大気波 対流圏への深い対流(熱伝達)は、エルニーニョ現象の間など、熱帯地方の非常に暖かい海面で強化されます。この熱帯強制力は、極方向と東方向に移動する大気中のロスビー波を生成する。 極方向に伝播するロスビー波は、低緯度気候と高緯度気候の間で観測された関連性の多くを説明してくれる。そのような現象の一つが、成層圏の突然の温暖化である。極方向に伝播するロスビー波は、北アメリカ太平洋のパターンで表現されているように、北半球の変動の重要で明確な部分である。同様のメカニズムが南半球にも当てはまり、南極のアムンゼン海地域の強い変動を部分的に説明する。2011年、Nature Geoscience(ネイチャー・パブリッシング・グループによって月1回発刊される英語版の査読科学雑誌)の研究では、全循環モデルを用いて、熱帯太平洋中部の気温上昇によって発生する太平洋ロスビー波とアムンゼン海域の温暖化を関連付け、移流の増加を通じて西南極のエルスワースランドとマリーバードランドの冬季と春季の大陸温暖化につながったことが明らかになった。 ロスビー波が西進する理由は ロスビー波は、惑星波とも呼ばれ、回転する流体に自然に発生する慣性波の一種である。それらは、1939年にスウェーデン生まれのアメリカの気象学者カール・グスタフ・アービッド・ロスビーによって地球の大気中に最初に特定された。 地球または関係する惑星の自転により、地球や他の惑星の大気と海洋で観察される。地球上の大気中のロスビー波は、高高度の風が吹く巨大な蛇行であり、天候に大きな影響を与える。これらの波は、圧力システムとジェット気流(特に極渦の周り)に関連している。 海洋性のロスビー波は、暖かい上層と冷たい深い海の境界である温度躍層に沿って移動する。 回転する球面上で流体が南北に変位すると、惑星渦度が増減した分を補填するために相対渦度が誘起され、結果として西側へ伝播する波動が生じる。その西進ロスビー波は西部太平洋の海面水温を低下させ、これにより大気の対流活動が抑制され、逆に赤道を挟んだ双子の高気圧性の渦が生じることがある。 ロスビー波は偏西風の蛇行に深く関係しており、これにより高気圧や低気圧が一定期間閉じ込められるブロッキング現象が引き起こされることがある。 ロスビー波はエネルギーを東へ伝えるが、これが新たな偏西風の蛇行をもたらし、結果的に西進するように見えることがある。 これらの要因が組み合わさることで、ロスビー波は西進する特性を持つ。 ウィルミントンの国立気象局は、アメリカ合衆国の南東部に位置するノースカロライナ州に、2024年9月16日、名前もつかない豪雨により「千年に一度」の記録的雨量、 一つの観測所で12時間の間に457mmの雨量の記録により非常事態宣言を発令した。この地域の他の場所でも12時間で304mmを超える雨が報告されていった。200年に一度の雨量であった。この豪雨は、名称の付くハリケーンや熱帯暴風雨ではなく、いわゆる「通常の悪天候」の中で発生した。国立ハリケーンセンターは、既に16日夜時点で、同地域に対する熱帯性低気圧警報を解除していた。 今回の豪雨は熱帯性または亜熱帯性低気圧と呼ばれるほどには発達していなかったため、『潜在的熱帯低気圧8号』と記録された。 「ジェット気流の停滞」が世界中で 発生していた。9月18日のジェット気流の動きは、「ヘビのような」グネグネとした停滞した異常な動きになっていたと言われている。その頃のヨーロッパの洪水についても、北極から南下した冷たい大気の流れと、大西洋や地中海の海水の.水蒸気を含んだの重く暖かい大気.が、そのひとつの要因だと思われいる。 2024年10月にスペインで発生した洪水は、長い期間にわたったことで、より深刻な事態となった。災害の始まりは主にスペイン南部・アンダルシア州からであった。南は地中海・ジブラルタル海峡・大西洋があるアンダルシア州では、気候は典型的な地中海性気候で、夏は日差しが強く暑く雨はあまり降らない。しかし、既に2021年9月13日、一帯に集中豪雨があり鉄砲水や河川の氾濫が発生し、住宅地や道路などが冠水する被害が生じていた。 2024年10月27日から30日にかけて激しい雨が降り続き、特にアンダルシア州アルメリア県では10月27〜28日にかけて豪雨に襲われただけではなく、アルメリア県のエル・エヒドやダリアスなどの基礎自治体では直径4cmを超える大きな雹も降っている。最も大規模な災害となったのが、29日に東部バレンシア州を襲った豪雨と洪水であった(バレンシア州の内陸部は山地であるが、地中海沿岸には肥沃な平野が広がっている)。ようやく、スペイン国内を襲った激しい豪雨は31日には収まった。しかし、11月に入っても各地で洪水や土砂崩れが続き、救助や復旧活動は進まなかった。 11月3日にはカタルーニヤ州都のバルセロナ(イベリア半島北東岸の地中海に面した平野)でも豪雨と浸水が発生し、バルセロナ空港の施設の一部が冠水して発着便にも支障が生じました。8日にはカタルーニャ州ジローナ県のカダケス(スペイン本土の最東端のクレウス岬半島近郊の地中海の.湾に位置)でも洪水が発生した。11月11日には、アンダルシア州マラガ県の県都マラガ(地中海岸のリゾート地であるコスタ・デル・ソルの中心)でも集中豪雨に見舞われた。これにより、大規模な洪水が発生した。 最も大きな被害を被ったのはバレンシア州で、11月8日の時点で死者219人、中でもバレンシア市の南、パイポルタの街では62人が亡くなった。パイポルタには川幅の狭い渓谷があり、ここに水路の許容値をはるかに超える大量の水が蓄積された後、激しい大洪水を引き起こした。普段は川の水位が非常に低いため住民の危機意識も薄く、避難が遅れたことで多くの死者が出た。 この豪雨災害全体では、死者232人、行方不明者3人、推定総経済損失は100億ユーロ超。 豪雨と洪水を引き起こす原因とされているのが、ゴタ・フリアと呼ばれる気象現象である。それはスペインで毎年秋と冬の季節の変わり目に発生する気象現象で、バレンシアの内陸部の標高の高い山々が走る地形などが、高層孤立低気圧Depresión Aislada en Niveles Altos(DANA;ダナ)を発生しやすい一つの要因となっている。そのスペイン語は「高層に孤立した低気圧」を意味する。この気象現象は、大気中の異常な動きによって高層に冷たい空気の塊が孤立し、そこに南の高い緯度から大西洋や地中海の暖かい海水の上を通り、より多くの水蒸気を含みながら北上し、冷たい空気の塊と衝突する。暖かい空気と冷たい空気は、激しい対流を起こし、激しい上昇気流を生み出す。これが局所的な集中豪雨・雷雨・雹、時には強風や突風などを発生させる。主な発生地域は、スペインや地中海沿岸、北アフリカが主な発生地であり、日本などでは似たような現象として「寒冷低気圧」が見られる。DANAは地域により異なる影響をもたらす複雑で様々な気象現象であるため、その発生メカニズムや影響を理解することで、被害を極力最小限に抑えることが不可欠となる。 2024年には、地中海における8月中旬の水面付近の平均気温が28.47℃と、記録上最も暖かい。気象学者などの分析では、1℃温暖化することで空気中の水分は7%多くなり、地球温暖化が1.3℃高まるごとに、バレンシアでの豪雨リスクは2倍になると推定されている。 (バレンシア州の内陸部は山地である。カステリョン県の山地はイベリコ山系に属し、アリカンテ県の山地はベティコ山系の一部である。バレンシア州を代表する山はカステリョン県にあるペニャゴロサ山(標高1813m)である。かつてペニャゴロサ山がバレンシア州の最高峰と考えられてきたが、実際にはリンコン・デ・アデムスにあるカルデロン山(標高1839m)がバレンシア州の最高峰である。バレンシア州南部を代表するアイタナ山 は、標高1558mになる。) 目次へ 2)海水の化学的物理作用 ![]() 太平洋起源水とは、北太平洋からベーリング海峡を経由して北極海に流入する水塊の総称である。その太平洋起源水は、塩分および密度が高いため暖かくても比重が大きく、北極海の海面付近を広範囲に覆っている冷たい河川水より深い亜表層に潜り込むことができる。亜表層は、通常では海面下おおよそ50mから200mくらいまでの水深を指し、この層には光がまだ届く領域で、温度の変化も大きい。 冬季では、海水が冷却され、海氷が形成される際、海氷は塩分をほとんど含まないため、周囲の海水に塩分が溶ける。この過程を「塩分排出」と呼ぶ。塩分の濃度が上がると、海水の密度が増加する。この高密度の水が海底に沈み込むことで、深層水や中層水の形成が始まる。中層水は、亜表層よりも深いところにあるが、海洋循環の影響や流れによって、亜表層と交流することもある。 中層水は栄養豊富で、時にはその栄養が亜表層に流れ込む。 特に北極や亜寒帯地域では、中層水は亜表層水より冷たくて密度が高いから、層同士が接すると渦ができることがあり、それが水の混ざり合いを促進する。中層水は亜表層水より栄養が豊富であるため、その栄養が上に移動することで、表層のプランクトンや他の生物の生殖能力を活性化する。 春から夏にかけて海氷が溶けると、塩分の少ない融解水が海洋表層に供給される。この低塩分水は周囲の水との混合するため、層構造や対流運動を促進する。高塩分で冷たい水が海底に沈み込み、低塩分の表層水が上部に留まることで、海洋内で特定の水塊(北太平洋中層水)が形成される。このプロセスは、オホーツク海のような大陸棚域で特に顕著で、海流や風、地形の影響も加わり、広域的な循環システムを作り出す。 オホーツク海 は地球上で最も低緯度に位置する海氷域で あり、地球温暖化の影響が最も顕著に現れ る場所として、近年特に注目されている。しかも、オホーツク海は北太平洋中層水の起源水域であり、二酸化炭素の吸収域でもあり、高生物生産域など物質循環の見地からも重要な 海域である。 高緯度海域に広く分布する海氷が、世界の気候に大きな役割を果たしていることはよ く知られている。なかでも、オホーツク海 は地球上で最も低緯度に位置する海氷域で あり、地球温暖化の影響が最も顕著に現れ る場所として、近年特に注目されている。 オホー ツク海水の北太平洋への流出は、ほぼブッ ソル海峡を通している。これら北部の反時計回り海洋循環場は、西岸境界流における密度流効果はあるものの、ほとんどが冬に発達する北西季節風によって駆動されている。海峡を通して、全体的に は約9Sv のオホーツク海水が太平洋に流出 している。また、こ の流出水と同じ性質の等密度水塊が北海道 沖で3ケ月後に観測されており、北太平洋中層水の起源となるオホーツク海水が北海道沖まで達していることが観測されている。今後の北太平洋中層水の定量的見積もりに非常に重要となる。 こうして形成された北太平洋中層水は、オホーツク海から北太平洋全体へ輸送され、炭素や栄養塩の分布に寄与する。このメカニズムは、地球規模の気候システムや生態系において重要な役割を果たしている。 (スベルドラップsverdrupの記号はSv、体積流量の単位である。特に海洋学において海流の流量の計量に用いられる。 1スベルドラップは 106 m3/s【1 GL/s】と定義される。例えば水深 1,000 m、幅 1,000 mの.断面積 106 m2の海域を流速 1 m/s で通過する海流の流量は1Svである。) 太平洋起源水は、北太平洋中層水や深層水など、様々な水塊に由来する。これらの水は、地球規模の海洋循環の一部として形成され、特にオホーツク海や南極底層水Antarctic Bottom Waterの影響を受けている。特に、南極底層水は、南極海で生成される非常に冷たくて塩分濃度が高い海水で、全世界の海洋底層に広がっている。それにより、太平洋の深層水循環において重要な役割を果たすことになる。 南北両半球における深層水形成の同調 過去12,000年にわたって、千年スケールの時間分解で中深層水の年代を試算したところ、極めて大きな変動が認められたと言う。特に完新世の7,500〜6,000年までの期間には、中・深層水循環の変動が大きく、わずか数百年の期間に大きく変動していた。 過去12,000年間の変動について、解析を行った結果では、南半球における偏西風帯の南北移動が関連していることが知られた。これは、偏西風帯が南へ移動した結果、南極大陸周辺における大気循環が一時的に強まった結果、南極地域の気温上昇し、南大洋の水温が上昇したことにより、南大洋における深層水(南極深層水Antarctic Bottom Water)の形成が活発になったことが原因と考えられいる。 一方、もう一つの深層水であるグリーンランド沖の.北大西洋高緯度に端を発する北太平洋深層水の形成がこの時期活発になっており、南北両半球における深層水形成が同調していた可能性があることが分かった。最終退氷期の南北両半球における深層水形成の強弱と連動した温暖化、寒冷化のモードは、かつては、逆位相の関係にあったが、完新世においては、それらのは成立せず、同位相で変動している可能性が認められた。このことから、完新世においては、新たなメカニズムの存在の可能性が提唱されている。 これまでグリーンランドと南極の氷床コアice core(南極やグリーンランドを覆う氷床から掘削して取り出した筒状の氷。過去の地球の気候と環境の変化が封じ込められており、その変化を解明するうえで重要な試料になる。)の記録の解析から、北半球の温暖化が始まった時期は、南極地域では温暖化のピークに相当し、南極地域の気温変動は北半球のそれと比較して約1,000年先行していたことがわかっている。特に、約1万年前の最終氷期末 、北大西洋地域で温暖化が起こったベーリング‐アレレード期(約1万4,700年前に起こった事象、最終氷期末期の区切りとなる。)に、南極では寒冷化しており、北大西洋地域が寒冷化したヤンガー・ドリアス期(約10,800年前〜9,600年前、「寒の戻り」と言われる。氷床は前進し、動植物は後退した。)に、南極は温暖化するなど、北半球高緯度が温暖化する時期は、南極が温暖化する時期に比べて数千年遅れていた。 このように、温暖化と寒冷化が南北両半球高緯度地域で逆になる現象は、バイポーラーシーソーbipolar seesawと呼ばれるメカニズムで説明される。バイポーラーシーソーは、千年スケールの温暖化・寒冷化の気候変動のメカニズムに関する考え方で、その原因に南北両半球高緯度における深層循環の変動が関係しているとされている。たとえば、北大西洋における深層循環が止まると、それまで熱帯から運ばれていた熱エネルギーの行き場を失い、その余った熱が南大西洋に再分配され、南極域が温暖化するという。バイポーラーシーソーメカニズムは、地球規模での熱エネルギーの再分配から、地球の気候システムを制御していることから、その原因とされる深層循環変動の解明がいかに重要かを端的に示した。 北太平洋における深層水は、北大西洋高緯度域及び南極海で沈み込んだ海水が起源となっている。南極海で形成された深層水は、南極海周辺を回る深層水(CDW)と北大西洋からやってくる深層水がCDWと混合する。CDWからの流れの一部は、さらに南太平洋西岸を北上して、中央太平洋海盆をへて二つに分岐し、下部太平洋深層水になる。さらに南極海で新たに形成され、南太平洋西岸、フィリピン海をへて北西太平洋海盆からハワイ諸島方面へ東向きに流れる上部太平洋深層水(UCDW)の二つの海流から構成される。北太平洋深層水は、南極底層水起源が約70%、北大西洋起源が約25%と報告されている。 南極底層水の生成域は、南極沿岸の特定の地域、つまりロス海は南極の西側、ウェッデル海は南側の大きな湾のあたり、アデリーランド沖は東側が、3大生成海域として知られている。しかし、それぞれの海域でどれくらい底層水が生成されているかについては、未だ大雑把な見積もり程度で、必ずしもよくわかっているとは言えない。北大西洋深層水については、その生成域が米国・ヨーロッパに近いため、観測・研究も多く、その実態はかなりわかってきているが、アクセスが困難で観測が難しい南極底層水に関しては、まだわかっていないことも多い。このプロセスでは、海氷が形成される際に塩分が排出され、密度の高い水が作られる。この水は海底に沈み込み、南極海から他の海洋へと広がている。 沿岸ポリニヤcoastal polynyaは「海氷の生産工場」として知られている。ポリニヤpəˈlɪnjəは、海氷に囲まれた開放水域である。現在では、隣接するパックアイスまたはファストアイス内の凍結していない海水の領域の地理的用語として使用されている。ポリニヤは、風が水面を流して氷が張るのを妨げたり、温かい海流が寒い空気と混ざって氷を溶かしたりすることで、ポリニヤができる。つまり氷に囲まれた中で、氷の薄い部分や開いた水面ができることを指す。このポリニヤは、.海の生態系にとって重要な役割を果たしている。例えば、ポリニヤの開けた水面は太陽光が満面に届くから、植物プランクトンが繁殖しやすくなる。植物プランクトンは海洋食物連鎖の基盤だから、魚やその他の海洋生物にとって望ましい環境になる。それに、ポリニヤはアザラシやペンギンなどの海の生き物が呼吸し休息する場所としても機能する。通常、暖かい水の湧昇(海洋において、海水が深層から表層に湧き上がる現象)によって地表水の温度が氷点以上に保たれるときに発生する。これにより、氷の生成が減少し、完全に停止する可能性がある。それには「沿岸ポリニヤ」と「外洋ポリニヤopen-ocean polynya」の2種類がある。北極や南極で特によく見られる。氷が厚くならないうちに風や海流で移動して、「薄氷のエリア」をキープしている。 ポリニヤの主な2つのタイプは、南極と北極の海岸近くで一年中見つけることができる。主に強風が氷を海岸から押し出すことによって作成される沿岸ポリニヤと、特定の場所、特に南極周辺の氷塊の中央で散発的に見られる中海または外洋のポリニヤがある。これらの場所は、通常、特定の海洋力学によって事前に条件付けられている。 最も有名な外洋ポリニヤの1つは、南極のウェッデル海に位置するモード・ライズ海嶺を覆う海氷の決まった場所に出現することから「モード・ライズ・ポリニヤ」としても知られる。この海氷のほとんどは、数週間にわたる極夜の闇の中、南極大陸を囲んでいる棚氷の上で成長する。このとき内陸から吹き付ける強風によってタイルが押し広げられてできる氷の穴が、「ポリニヤ」だ。このような仕組みでできるポリニヤは、風から離れた外洋ではあまり出現しない。 最も浅いところで水深約1,000mに達するウェッデル海のモード海嶺の「モード・ライズ・ポリニヤ」は、そんな普通ならできないはずの場所に出現する、大きな氷の穴だ。寒い大気にさらされて薄い氷がどんどん生産され、それによって塩分濃度が高い重い水が作られる。その水が沈み込み、地球規模の海洋循環を駆動してる。 気候変動、地球温暖化によって、南極大陸の風はいっそう強さを増している。ゆえに将来的にはポリニヤの数は増えることが予測される。それが重要なのは、世界の海洋の実に40%が、南極の海岸線に由来するからだ。それは南極の海岸が地球各地の気温に大きな影響を与えているということでもある。 太平洋では、南極底層水が深層水循環の一部として流入し、2,000m以深の水温を2℃以下に保つ役割を果たしている。この冷たい水は、太平洋の深層水循環を駆動し、地球全体の気候や海洋生態系に影響を与えている。オホーツク海では、海氷の形成や溶解が水の密度を季節的に変化させ、北太平洋中層水の生成に関与している。太平洋起源水の特性も、その温度と塩分の組み合わせで特徴づけられるが、北太平洋中層水は比較的低温で塩分が中程度の水塊であり、深層水はさらに低温で高塩分である。また、これらの水塊は、地球全体の炭素循環や栄養塩の輸送に重要な役割を果たしている。 北極の海氷下で海氷亜表層に蓄熱が進行する一連のプロセスは、まず、ベーリング海峡から流入する太平洋起源水の貯熱量がバロー峡谷通過時点で増加トレンドを示す。また、カナダ側の海盆域を時計回りに流れるボーフォート海洋循環の重心が南東方向の北米大陸側に移動することに伴って、チュクチ海(ロシアシベリア北東部チュクチ自治管区とアメリカ合衆国アラスカ州北西部にかけての海)の大陸棚縁辺に沿ってアラスカ北岸の狭いバロー峡谷からチュクチボーダーランドに向かう海流が強化される。これらの組み合わせによって、以前よりも暖かい太平洋起源水がより多く輸送されることで、下流域に位置するチュクチボーダーランド海域の亜表層における蓄熱が進行していることが本研究で明らかになった。 ボーフォート循環は北極海における高気圧性の海洋循環であり、特に温暖な太平洋水を北極海の中央部に移送する役割を果たしている。ボーフォート循環は、北極海のカナダ海盆域に存在する高気圧性の海洋循環で、この循環では、バロー渓谷から流入する温暖な太平洋水を北極海の中央部に移送する重要な役割を担っている。近年の温暖化に伴い、ボーフォート循環の流速が急速に強化されていることが報告されている。特に、夏季における海氷の融解を促進し、海氷の形成を遅延させる要因となっている。これにより、北極海の生態系や気候にも影響を及ぼす可能性が高い。 海氷変動のメカニズムを明らかにするためには、海洋亜表層に蓄積された熱がどのように海面付近まで伝わり、どのくらい海氷の熱的減少(融解促進や結氷抑制)に寄与するのかを調べることも重要でとなる。一般的に、水産有用種の生息域は海水温の分布と密接な関係があることから、このまま海水温が上昇し続ければ、公海漁業規制が一段と重要になる。この規制が広まるのは第二次世界大戦後のことであって、関係国間で、一定海域の特定魚種の漁獲を規制する漁業条約が締結されてきた。1970年代後半に200海里経済水域が世界的に設定される。公海の海域で開発されてきた優良国際漁場は、各国の経済水域内に、ほぼ囲い込まれることになった。これにより公海漁業は実質的に終焉した。加えて、公海であっても、サケ・マスのような遡河(さくか)性魚種に関しては、産卵河川を有する国に管理・管轄権があるとする母川国主義によって、母川国はサケ・マス公海漁業への規制を強化してきており、この種の公海漁業の存続は困難になっている。 世界の最も大きな海洋循環は、南極海と北大西洋の2ヶ所で重い水が沈み込み、全海洋の深層に拡がりながら徐々に湧き上がることで作られる『海洋深層循環』に起因する。この2つの重い南極底層水と北大西洋深層水のうち、より冷たくて重いのは南極底層水で、全世界の底層に拡がっている。南極底層水を起源にする水流は、全海洋の36%をも占め、北大西洋深層水起源の水の2倍になると言う。 太平洋では2,000m以深の水は2℃以下となり、そのかなりの部分は南極底層水を起源にする。重い水の沈み込みが弱くなったり、沈み込む場所が変わったりすれば、海洋深層循環の流れも変わる。それにより、海の持つ熱容量は非常に膨大なので、地球上の気候が激変することになる。実際に古い過去には海洋深層循環が今のものとは異なっている時期があり、そのために地球の気候を大きく変動させている。 その事例として、ヤンガードリアス期が挙げられる。この期間(約12,900~11,500年前)は、およそ1.2万年前(前10000年)から現在までは地質年代で言えば新生代更新世(氷河時代)後期の末期にあたる。最終氷期が終わり温暖化が進む中、急激な寒冷化が北半球で発生しました。 原因として、カナダのローレンタイド氷床が溶解し、大量の淡水が北大西洋に流入したことが考えられている。この淡水が海水の塩分濃度を低下させ、深層水の形成を妨げた結果、深層海洋循環が停止し、寒冷化が引き起こされたとされている。 この現象は、地球規模での気候変動を引き起こしたが、北大西洋地域では気温が大幅に低下した。また、深層循環の停止は海洋生物生産にも影響を与え、全球の海洋バイオマスが減少したとされている。 世界中で、最も低緯度で早く海氷が見られるのは北海道のオホーツク海沿岸である。北半球の冬、シベリアで急激に冷やされ重くなった空気が季節風となってオホーツク海沿岸に吹き付ける。冷たい空気が海表面から熱を奪い、海水は冷やされ−1.8℃になると凍る(結氷点)。 北極と南極では、南極のほうが寒い。北極(北極圏)には大陸がなく、海や氷が広がっているが、南極(南極大陸)では氷で覆われた広い大陸である。海上(水)と陸上(土砂や岩石)とでは、比熱は陸上の方が大きいので「温まりやすく冷めやすい」。実際に北海道でも、海沿いよりも内陸部の方が冬は気温が低く、夏は気温が高い。実際、北極より南極の方が平均して20℃も気温が低い。 年間平均気温は、北極では、約 -10℃~-20℃(地域や季節によって変動)、南極では約 -30℃~-60℃(内陸部ほど寒冷)、南極の方が北極よりもはるかに寒い。 その主な原因が、地理的環境と高度の差にある。 北極圏は主に北極海に覆われている。海水は温度の変化が陸地より緩やかで、冬でもある程度の温暖効果がある。南極は広大な陸地で、大陸全体が厚い氷床に覆われている。陸地は熱を保持しにくいため、より寒冷になる。 北極は主に海抜0 m付近の海面上に位置しており、高度の影響がほとんどない。また、北極の氷は10mくらいの厚さである。北極が南極より低緯度で海水が凍るのは、海が浅いことと−20℃くらいの冷たい空気が連続的に吹き付けることによる。この条件が満たされる場所がオホーツク海北部のロシア沿岸なのである。オホーツク海の流氷は、船の航行を妨げるが、氷とともに栄養やプランクトンが運ばれることによって海に恵みをもたらす。 北極海の海盆域では、大西洋由来の高塩分・高水温(約1℃)の高密度水が深層に横たわっている。表層水だけが結氷点まで下がり海氷ができる。 実は、南極大陸は平均標高約2,500 mと、世界で最も標高が高い大陸である。南極の氷は約2,500mの厚さであれば、内陸部は4,000mくらいのところもある。氷が厚いということは標高が高いということになる。その標高差が南極の寒冷を助長している。南極の空気は、猛烈に冷やされるため、外洋の海盆域でも、表面から深度数百mまで海水が結氷点近くで冷やされて、表面から凍りはじめる。 南極の氷床は非常に高いアルベド効果albedo(物体表面で反射される光の割合)を持ち、熱をほとんど吸収していない。北極海の氷もアルベドが高いが、周囲の海水が熱を保持しているため、南極ほどの冷却効果は生じない。
正四面体構造の氷の構造は確かに空間が多いため、理論的には他のイオンや分子がその空間に入り込むことも可能もあるが、現実的にはナトリウムイオン Na⁺や塩化物イオン Cl⁻のようなイオンは、氷の正四面体構造に入り込むと、その規則正しい格子構造が乱れて凝結温度が下がり融けもする。異物が加わるとその結合が崩れる可能性がある。 一般的に物質は液体から気体に状態変化すると、体積は大きくなるが密度は減少する。液体から固体に変化すれば、体積は小さくなるが密度は増加する。しかし、例外的に、水は液体から気体に変化する際と同様に液体から固体に変化すると、密度が減少し体積が大きくなる。 水の化学式はH2O、物質はその状態によって分子の動き回り方が変化し、これが体積の増減に影響を与えている。水もその例外ではなく液体や気体の場合でも、水分子が動き回っている。物質は固体になると分子がほとんど動かなくなって体積が減少するが、氷の場合、水分子同士は互いに水素結合で引き合う。この水素結合は間に隙間を作りながら結合するため、この隙間が体積の増加につながっている。 通常の物質では、融解(固体から液体への状態変化)に際して、温度の上昇とともに分子1個あたりの運動空間が広がって体積が増加(密度が減少)するが、水は4℃(厳密には、+3.98℃)で体積の最小値(最大密度)を示す。水は、他の物質にはない不思議な性質をたくさん持っているが、体積が+4℃で最小になる(言い換えると、密度が最大になる)というのもそのひとつである。この性質を持つ物質はとてもまれで、ほとんどすべての物質の液体は融点(結晶が融ける温度)の時に体積が最小で、温度が上がれば体積はだんだん大きくなっていく。 この不思議な性質は、水が凍って氷の正四面体構造になると水に浮かぶということとも関連している。氷の結晶というのは、水分子が三次元に規則正しく並んだ構造をもっている。このとき隣り合った水分子どうしは、水素原子を介して水素結合している。氷の結晶とは水素結合の三次元的な組み合わせで出来ているとも言えるのあるが、これが水分子の時よりもう隙間の多い構造を作る。このため、水中の水分子がバラバラに配置した状態にあるときよりも、氷の結晶中の水分子間隔のほうが大きくなっている。これで、液体の水の状態よりも、体積は氷のほうが大きくなる(密度が小さくなる)ことになる。 融解の際には、氷の正四面体構造の一部が切断され、結晶中の隙間を埋めるように水分子が入り込み、その際、急激に体積が減少(密度が増加)する。0℃を過ぎても液体の水の中には部分的な氷の構造が残っているため、温度を上げるとこの構造がこわれて体積はさらに減少していく。 さらに温度が上がると水分子の熱運動が激しくなり、密度は減少するが、体積は増加していく。4℃以下では体積は減少していき、4℃以上になると体積は増加していく。 水には結晶を形成するための種結晶または他の小さな粒子(核)が必要となる。液体の水分子の構造が固体の氷の構造に近づくまで、ほこりや不純物は、通常、核を提供するが、純粋でない水は、その水に含まれる不純物の量によって凍る温度は下がっていく(モル凝固点降下)。本当に純粋な水は、刺激(振動など)を与えなければマイナス20℃くらいまで凍らない。これを過冷却というが、これは「集まって固体になる」ために必要なエネルギーを「外部からの衝撃」という形で外供給しているとことになる。また、一部が固体になってしまえばその周りから順に氷へと変化していく。 (モル凝固点降下とは、溶液の性質に関する現象で、「不揮発性の溶質を溶媒に加えると、その溶媒の凝固点が下がる」。その「下がる度合い」は、溶質のモル濃度【溶媒1キログラムあたりの溶質のモル数】と一定の比例関係がある。この現象を「凝固点降下」と呼ぶ。降雪地帯の山間部などで道路に塩【塩カル】を撒くのも、この原理が関わっている。 ●凝固点降下の公式 ΔTf = Kf・m ΔTf:凝固点降下度 Kf:モル凝固点降下(K・kg/mol)(定数:溶媒に固有) m:質量モル濃度(mol/kg)) 例えば海水はその中に塩を含めて多くの不純物を混入しているので0℃では凍らない。一方では、不純物が多ければ凝固点降下を引き起こす可能性もある。 氷の結晶構造は、1個の水分子に対して4つの水分子が正四面体構造で囲っている。塩(ナトリウムイオンと塩化物イオン)が溶けていると、溶液中の水分子の配列が乱れる。その結果、氷が形成される温度(凝固点=氷点)が下がり、通常の環境では正四面体構造の氷が形成されにくくなる。この現象が、冬場に道路に塩を撒いて凍結を防ぐ理由になる。 その正四面体構造にイオンが安定して存在するためには、それを取り込むプロセスが非常に特殊な条件下で起こる必要がある。このため、自然界ではイオンが正四面体構造が組み込まれる六方晶系氷の中に含まれることは非常に稀となる。塩分はナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl-として存在しているため、イオンが氷の格子構造の中に入り込むのは物理的に困難になっている。 また水分子は水素結合を形成することで氷の結晶構造を維持しているが、塩分のナトリウムイオンや塩化物イオンは、水分子と水素結合を形成できないため、氷の中に取り込まれるのが妨げられる。塩分は、氷の結晶にとっては「不純物」として振る舞い、不純物は結晶の形成を妨げるため、氷が形成される際に塩分は結晶の外に押し出され、氷の結晶構造には組み込まれない。 これが、例えば海水を冷やしても完全に真水の氷ができることが多い理由で、ただし一部の塩分は氷の表面や間隙に留まることがある。 結果として、凍った部分はほぼ純水に近く、周囲の未凍結部分の塩分濃度が高くなる。その凍った海水氷が溶けると、氷の塩分濃度が薄いため、元の海水よりも塩分濃度が低い液体になる。ただし、塩分濃度が完全に均一な状態で凍らせていない場合や、氷が完全に溶けきらない場合には、溶けた水は元の海水と性質が異なる。氷の塩分濃度が薄く塩分濃度が完全に均一な状態で凍らせていない場合、また氷が完全に溶けきらない場合、凍結と解凍の過程で微量の気泡が入り、塩分の再分配が起こる可能性があり溶けた水は元の海水と性質が異なる。 ひとつの酸素O原子に対して、二つの水素原子Hが共有結合し、そのそれぞれの水素は他の水分子H2Oの酸素原子と水素結合している。水の表面張力の強さは主に水素結合に起因する。水分子は極性分子であり、酸素原子が負の電荷を帯び、2つの水素原子が正の電荷を帯びている。この極性により、隣接する水分子が引き合う力を生じさせる水素結合を形成する。 表面付近の水分子は、液体内部にある分子とは異なり、周囲に同じ量の分子が存在しないため、内側へ引っ張られる力が強くなる。この力が水の表面を収縮させ、強い表面張力を生み出す。これにより、水滴が丸い形状を維持したり、昆虫が水面を歩けたりする。また、この構造の氷が水よりも密度が低くなる原因になる。例えば、金属の結晶構造は密度が高くなるように配置するが、氷は、正四面体構造をとり、六方晶系氷に組み込まれれば、最も密度が高くなるようには結晶化できない。結果として、水よりも密度が低くなる。 (単一の元素からなる固体のうち、12族以下の金属元素は3種類の結晶構造のどれかに属し、それぞれ体心立方構造・面心立方構造・六方最密構造に分かれる。金属元素は全方向に等方的な化学結合【金属結合】を形成するため、できるだけ多くの原子が周りにいてくれた方が有利に働く。) 目次へ |
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