晩秋の野山を彩る時、リンドウの花の青紫色は欠かせない、その深みのある色合いと、霜枯れた草むらでまみえた時、車山高原の花の季節の終わりをしらされます。
 長野県と熊本県の県花にもなっています。
 切り花に広く用いられるエゾリンドウは、薬用植物として知られるセンブリ(リンドウ科センブリ属)を含むリンドウ科の植物、一、二年草もしくは多年草の草本が多いが、ごく稀に、南アメリカのマクロカルパエア属のような低木のものもあります。
 当薬は、センブリの全草を乾燥させた生薬です。リンドウには、薬用植物も含まれますから、葉は大変苦い、しかし、その苦み成分のゲンチオピクロシドには、その健胃効果などに明確な証拠が見当たらないと言われています。

 近年、市場に出回っている「リンドウ」は、昭和30(1,955)年頃、北海道産の「エゾリンドウ」の山掘り苗が大量に長野・福島・岩手県などに入り、それぞれ地元の「エゾリンドウ」と交配し作出されたものです。そのため、栽培は寒・高冷地が適地で、暖地では株の維持が難しいようです。「エゾリンドウ」の花は、茎の先端と葉腋に、5~20個つくのが特徴です。
 茅野市のリンドウ栽培も、同年代に、標高1,500mから1,650m程の車山高原や霧ヶ峰の「エゾリンドウ」との交配から始まり、栽培拡大と共に個人での育種や部会活動による、花色・花型など草姿レベルの品質改良が進みます。昭和27(1,952)年~昭和47(1,972)年にわたる 20年間の日本の実質 GNPの年平均成長率が 9.4%となる高度成長期に需要が拡大し続けます。昭和45(1,970)年以降には北山地区・米沢・湖東・豊平を中心に、リンドウ栽培が全盛期を迎えます。湖東地区だけでも生産者は、100人を超え、昭和48(1,978)年には、「市花」にも選定されました。