雁道(がんどう/かりのみち)に まつわる民話に欠かせないのが
雁風呂(がんぶろ)です

年ごとに 様々に装う 
美しい 漂秋の最中
青天を渡る 雁に寄せる 
優しい思いが 秘められています

雁は秋に 木片を口にくわえ 
北方から 飛来します

飛び疲れると 
波間に浮かべた 木片に
一時の 安らぎを 願うのです 

やがて 捨てられた木片が 
「外の浜」に散らばります

春になると 
寒露に 羽を休めた 
その木片を 再びくわえて 
津軽海峡を渡り 北帰するのです

空しく 「外の浜」に戻れないまま 
日本の大地と化した
雁の数だけ 木片が残ります

浜人は それを 拾い集めては 
風呂を焚き 
不運な雁に 思いを馳せて 供養をするのです

「念仏に とる風呂蓋や 雁供養」
「雁風呂や あはれ幾羽の あたたかみ」