ハリギリ(針桐)は、ウコギ科の落葉高木の広葉樹です。桐に似ており、一年枝は鋭い刺が多いため、ハリギリと呼ばれたようです。私には、葉も幹も大分違うように見えます。
 車山高原の渓流沿いの雑木林を散策していると、大きな木が、美しく黄葉していました。それが、ハリギリでした。
 葉はハウチワカエデのように、掌状に5~9裂し、径10~25cmと大きく、天狗の団扇のような形をしているので、「テングウチワ」と呼ばれることもあるそうです。
 葉が掌状でモミジの仲間のように見えますが、樹皮の様子が違います。ただ滑らかな木肌のハウチワカエデも、老木になるとハリギリのように荒れてきます。
 ハリギリはウコギ科に属します。ハリギリの展葉は、枝より太いため、林間に垂直に屹立する、その大きな芽はかなり目立ちます。その幼葉は、同じウコギ科のタラノキやコシアブラ、ウコギ科の多年草のウドなどと同様に山菜として食用にされます。見た目は、近縁のタラノキの芽に良く似ていますが、苦味にえぐみが強く混じるため、タラノメの脇にハリギリがあっても、私のように嫌厭する方が多いようです。
 冬になると、黒い小さな実を枝先に多数付けます。留鳥または漂鳥のヒヨドリやメジロ、冬鳥のシロハラやツグミがその実を食べに来ます。