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1)太陽系と地球の形成 恒星と恒星の間の宇宙空間には、星間ガスや星間塵と呼ばれるガスやチリがひじょうに薄くまばらに散在している。これらのガスやチリが特に濃く集まったものを星間雲(せいかんうん)と呼ぶ。その温度や密度によって、星間ガスは異なる形態を保っている。星間ガスの主成分は水素であり、星からの光があたると、その遠紫外線成分によって水素分子は水素原子に解離される。しかし、星間物質の中でも、低温で、星間ガスや宇宙塵が他より濃く集まっている領域は、星の光が内部まで届かず、ガスが分子として存在し続ける。一酸化炭素やアンモニア、そして水といった分子も存在しているので、このような密度の高い星間雲は「分子雲」と呼ばれている。 (水素分子H2は、水素原子Hが2個結び付くことによって構成される最も簡単な構造の分子であり、水素分子が水素原子2個に分離する過程(解離)は、最も簡単な化学反応と考えられるが、異なる解離過程を経て生じた水素原子は内部の電子の様子が異なり、それぞれ別の状態の原子として区別される。) ![]() この分子雲の中でも、周囲より極めて密度が高くなった分子雲がコアとなって星が生まれる。分子雲の平均的な密度は、 1 立方cmあたり 1,000 個程度で、温度は絶対温度で約 10 K である。これらの「星間分子雲」は、自身の重力によって収縮していき、密度が1 万個 cm-3、 10 万個 cm-3 と高まり、「分子雲コア」と呼ばれる高密度領域を形成していく。これらの分子雲コアの密度がさらに高まることにより、中心部に「原始星」が形成され、その重力による中心部の収縮による高圧と高熱による核融合が始まり恒星として成長する。 核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応であれば、 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出される。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E = mc² によって説明され、その失われた質量mが光の速度の自乗倍の積数からなる莫大なエネルギーEに変換されることを示す。 <核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。br>現在、約 450 光年の距離にあるおうし座分子雲では、太陽と同じ程度の質量をもつ星が 100 個程度形成されつつある。強力なハッブル宇宙望遠鏡などによる観測では、オリオン大星雲の中には、多数の塵の円盤に包まれた星が発見されている。これらの星の周囲は、新たな惑星系が形成され、それも非常に初期の段階にあるものと考えられている。 また、近くの星の光を反射して輝く反射星雲などがあり、狩人オリオンが腰に下げた剣にあたる場所にある、淡く光るオリオン大星雲(M42)が、有名な反射星雲の一例である。地球に最も近い大質量星形成の領域である。M42星雲の大きさは24光年と推定されている。質量は太陽の約2,000倍である。推定年齢は1万年と若く、これからも星が誕生していく現場でもある。 恒星はこれらの「星間分子雲」から生まれた。宇宙空間には、星が誕生する場所となる星形成領域が多くあり、これらの領域はしばしば「星間分子雲」として知られている。「星間分子雲」は、主に水素ガスや水と少量の一酸化炭素CO、他にもシアン化水素HCN・硫化炭素CS・アンモニアNH3などの他の分子も含まれており、これらが新しい星の誕生や進化において重要な役割を果たして行く。シアン化水素の炭素原子と窒素原子は、三重結合で結合している。気体のシアン化水素は青酸ガスと呼び、液体は液化青酸と呼ぶ。 気体や液体、水溶液のいずれについても、慣習的に青酸(せいさん)と呼ばれる。シアン化水素を大気中で強熱すると、炎を上げて燃え、窒素と二酸化炭素と水になる。 上記以外にも微量ながら様々な分子が含まれている。分子雲の中でしか見られない変わった分子もある。その中でも近年特に注目を集めているのは有機分子である。分子雲中で形成された有機分子が、壊れることなく、地球のような惑星の表面に到達し、それが生命の起源に関連するのではないかとの説が真剣に語られている。
多環芳香族炭化水素は、縮合環式炭化水素とも呼ばれ、地球上では、油や石炭・乾留液(タール)中の沈殿物、炭素を含む物質(木材<核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。br>・核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。>タバコ<核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。br>・核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。>脂肪<核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。br>・核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。>香など)の不完全燃焼の副生成物であり、ゴム・可塑剤・プラスチックの着色顔料などに用いられている。但し、多環芳香族炭化水素には100以上の化学物質が含まれており、そのうちのいくつかには発癌性<核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。br>・核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。>変異原性<核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。br>・核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。>催奇形性があることが確認されている。 その一方、星間物質や彗星、隕石にも含まれているため、自然発生説の基礎となる分子の候補に挙げられている。自然発生説とは、「<核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。br>生物が親無しで無生物(物質)から一挙に生まれることがある核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。>」とする、生命の起源に関する説の1つで「<核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。br>偶然発生説核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。>」とも呼ばれ、一般にアリストテレスが初めに提唱し、以降長きにわたり広く信じられてきた。 <核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。「レディの実験」を皮切りに、自然発生説を否定する科学的実証が始まり、19世紀のルイ・パスツールの実験によってほぼ完全に否定された。 近年、宇宙空間にある多環式芳香族炭化水素が、強い輻射場を持つ星形成領域の周囲では、分子構成が分解されること、また紫外線照射<核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。 この過程で、生成物の質量が反応前の原子核の総質量よりもわずかに小さくなり、その質量差がエネルギーとして放出されます。 この現象は、アインシュタインの有名な方程式 E="mc²" によって説明され、失われた質量(m)が莫大なエネルギー(E)に変換されることを示しています。照射核融合は、二つ以上の軽い原子核が融合して、より重い原子核を形成する反応です。>によって電子が剝がされて電離状態になるとことが示唆されている。 多環式芳香族炭化水素の宇宙空間における進化の過程は、まだ多くの謎に包まれているが、ただ、これらの過程を一つ一つ明らかにしていくことによって、今日ある物質的・化学的に豊かな宇宙の環境ができるまでの描像の構想に、新たな視点が加わる可能性が高まる。なぜなら、多環式芳香族炭化水素は、いくつかの化学過程を介して、アミノ酸などの有機物とも密接に関連している重要な物質だと考えられているからで、宇宙空間の多環式芳香族炭化水素の進化の研究が、星間化学と宇宙生物学をつなぐ架け橋となることが期待されている。 水素を主成分とするガスと、1万分の1〜1,000分の1mm程度の大きさを持つ小さな固体の星間塵を含む「星間分子雲」は、比較的密度の高いガス雲で、水素ガスや水素を主成分とする少量の水H2O・シアン化水素HCN・アンモニアNH3や、他にも一酸化炭素COや硫化炭素CSなど様々な分子を含んでいる。星の誕生の現場では、その形成の材料になる。 分子雲には、太陽の10万倍もの質量と100光年にも及ぶサイズを持つ巨大分子雲Giant Molecular Cloudsと呼ばれるものまであるが、特に太陽の10倍もの質量を持つような大質量恒星は、この巨大分子雲の中で誕生する。 太陽もまた、こういう「星間分子雲」の中のガスやチリが集積されて生まれた。この大きなかたまりは重力によってしだいに縮んでいく。このときガスは回転しているため、だんだんと平たい円盤のようになっていく。そして最後には、中心にいちばん重いかたまりができ、まわりに薄いガスとチリの円盤ができる。これを「原始太陽系星雲」と呼ぶ。 中心のかたまりは原始太陽となるが、残された円盤の中ではガスとチリがくっつき、直径10kmほどの小さなかたまりが無数に生まれる。これが微惑星の正体である。 宇宙空間に漂う水素ガスや水と少量の一酸化炭素COなどが次第に集まり、その塵の大きな固まりが出来る。塵はお互いに遠くから万有引力で吸い寄せられ一箇所に集まるため、運動エネルギーを有している。 塵はお互いに引き合いながら、中心を回る運動をする。右回りか左回りかどちらか量の多いほうに回転は決定される。 塵同士はお互いに引き合っているので、左回りや右回りを各塵が自由に動ける訳ではない。塵の塊は、平面の円盤状になり、同一方向へ回転する様になる。 球体であると、塵は縦横様々な方向へ回転することとなるが、平面の円盤状であれば塵同士引き合っているので、バラバラの方向には回転しない。全ての塵は、同じ方向へ回転するようになる。太陽系は、たまたま左回転となったのである。そして、塵は幾つかのリングに別れ、それぞれのリングが一つになり、惑星が出来上がる。その時、リングの内側の塵の移動速度は、リングの外側の塵の移動速度より速い。内側程太陽の重力が強く、速く公転しないと太陽に落下してしまう。 これらの微惑星は衝突することで、合体したり壊れたりしながら、次第に大きな塊になる。これが原始惑星の誕生で、原始惑星の周囲には未だたくさん残っている微惑星同士が衝突し、まわりのガスも高まる重力で引き付けて大きく成長していく。 しかし、中心近くでは灼熱の原始太陽によって生成される太陽エネルギーと磁場の流れにより、主に電子と陽子からなる荷電粒子と水素や揮発性のガスなどがあらゆる方向へ吹き飛ばされる。やがて岩石と鉄を主成分とした小さな惑星が残り、それが地球型惑星になる。また、外側のガスが濃いところで成長した惑星は、軽い水素ガスやヘリウムガスなど、原始惑星系円盤のガスを大量に取り込んで木星型惑星になる。太陽系の惑星の場合、水星・金星・地球・火星は地球型惑星であり、木星・土星・天王星・海王星は木星型惑星と呼ばれる。 火星と木星の間で、大きな惑星に成長できなかったものは、多数の小惑星からなる小惑星帯を作った。また、微惑星のうち惑星の引力で太陽系の端に放りだされたものが彗星になったと考えられている。 隕石中にあるウラン129由来のキセノン129という物質を放射性同位体検査で調べた結果で、地球や火星や木星のみならず太陽系の他の惑星もほぼ同時期に形成されたことが明らかになった。太陽系が生まれたのは46億年前と分かった。また、原始太陽系星雲が縮みはじめてから、太陽系ができるまでは一千万年ぐらいだと考えられている。地球が誕生したのも「約46億年前」になる。太陽が生まれて、やがて太陽の周りにも、ところどころで微粒子が固まった「微惑星」が生まれ、その微惑星は周りの物質と衝突してくっつき、少しずつ大きくなっていき、そのうちのいくつかが巨大化しし、太陽系の惑星となったものの一つが「地球」であった。 目次へ ![]() |
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2)原始の地球 原始地球の組成はどのようなものであったのだろう。ここでも隕石が重要な情報源となる。隕石の大部分は石質(非金属)隕石で、この中にはケイ酸塩鉱物の球状の粒子(コンドリュールchondrule)を含むコンドライトchondriteと、それを含まないエコンドライトachondriteがある。
石質隕石の大部分がコンドライトであれば、そのコンドリュールは、高温で融けた状態にあったケイ酸塩の液滴が、無重量状態で丸くなり、それが急激に冷えて固まってできたと考えられる。コンドリュールとは、古代ギリシャ語のχόνδρος chondros、つまり穀物が語源であれば、異なる鉱物の溶融または部分的に溶融した液滴として宇宙で形成された丸い穀物である。 コンドライトは、鉄とニッケルの含有量が少ないことで鉄隕石と区別できる。コンドリュールを欠く非金属隕石はエコンドライトであり、コンドライトよりも最近に形成されたと考えられている。 現在、世界のコレクションには27,000体以上のコンドライトがある。これまでに回収された最大の隕石は、1,770kgの重さがあり、1976年の中国吉林省、吉林市近くに落下した隕石雨の一つで、それは回収された隕石の最大の破片であった。隕石は突入角度16度、突入速度17km/sで大気に突入し、高度17kmで大爆発し、爆発の衝撃はマグニチュード1.7で大地を揺らした。爆発とともに、138の大きい破片と3,000ほどの小さい破片に破裂し、東西72km、南北8kmの範囲に落下した。総回収量は4,000kgであった。落下範囲の東端に、最大の破片が落下し、深さ6m、径2mの穴が掘られた。そこから15km西に400kgと123.5kgの破片が降着した。 コンドライトの隕石は、単一の石から何千もの個々の石からなる墜下まで様々な様相で降着する。後者の例では、アリゾナ州は巨大な流星クレーターで有名であるが、1912年7月19日の夕方、煙の軌跡が空に現れ、その直後の午後7時15分に、推定質量190kgの隕石が大気圏で爆発し、推定16,000個以上の小さな破片が、ホルブルックの東約10 kmの地域のナバホ郡に降り注いだ。 (珪酸塩基で構成された鉱物の珪酸基は、1個の珪素原子が4個の酸素原子と結合している珪素-酸素四面体であるため、SiO4-と表記される。) コンドライトはさらに酸化の程度に応じて細かく分類されるが、注目されるのは特にアミノ酸や脂肪酸などの有機物がしばしば見出される酸化されている炭素質コンドライトと呼ばれるものである。コンドライトは、45億4000万年以上前に小惑星を生み出した原始的な太陽系に存在する塵と砂利の粒子の付着によって形成されている。その年代を示すもう一つの指標となり得るのが、コンドライトに含まれる不揮発性元素、鉄・ニッケル・コバルト・マグネシューム・シリコン・カルシューム・チタンなどの存在量が、太陽や銀河系の他の星の大気に見られるものと類似しているという事実である。炭素質コンドライトは、太陽系の初期の段階の様子をよく保存しているといわれている。また化合物や有機物の形で炭素原子を含んでいることも特徴である。
パラサイトは、鉄ニッケル合金の中に丸みを帯びた橄欖石の結晶が分布しており、溶融を経験した隕石母天体内部でケイ酸塩と鉄が完全に分離していない領域を起源にすると考えられている。一方、メソシデライトはさまざまな鉱物の比較的細粒の結晶と鉄ニッケル合金の混合物で、天体どうしの衝突で形成されたと考えられる。 アリゾナのバリンジャークレーターの近くのディアブロ峡谷で、1891年に隕石の破片が多数見つかり、キャニオン・ディアブロ隕石Canyon Diablo meteoriteと呼ばれている。後期更新世の約5万年前に鉄質の小天体どうしが衝突して形成されたと考えられる。ニッケル含有量が6.5〜13%の鉄隕石であれば、オクタヘドライトに分類される。バリンジャー・クレーターを作った元の隕石は、25mから30mの大きさで重量は数十万tあったと見積もられているが、発見されている隕石の総重量は30tであった。 隕鉄を切断して、切断面を酸で処理すると、ウィッドマン・シュッテッテン構造という特有な構造が見られる。ウィドマン・シュテッテン構造とは、鉄とニッケルを主要成分とするオクタヘドライトoctahedrite隕石(ニッケルの含有量が6%から20%と多い)に特有の結晶構造で、ニッケル含有量の多いテーナイトと含有量の少ないカマサイトからなる、0.2mm〜50mmの幅の層状の金属結晶組織が見られる。顕微鏡下で見られる美しい幾何学模様は肉眼でも見られる。 この構造は、カマサイトとテーナイトと呼ばれる二種類の金属の規則正しい配列によって形成される。カマサイトは鉄を多く含む鉱物、テーナイトはニッケルを多く含む鉱物であるが、隕石が母天体内部でゆっくりと冷却される過程で、ニッケルの含有量の違いによって、これら二種類の鉱物が互いに層状に成長する。その冷却速度は、実に数万年に1℃という極めて遅い冷却過程が、ウィドマンシュテッテン構造という特徴的な模様を生み出した。数cmにも及ぶ大きな結晶が形成されるのは、この極めてゆっくりとした冷却速度がなければならない。この構造は、隕石が大きな母天体内部でゆっくりと冷えてきたことを示す重要な証拠であり、隕石の起源や形成過程を解明する上で重要な手がかりとなる。これだけの大きな結晶をつくるためには、100万年間で数℃という極めてゆっくりした割合で冷されなければならない。それは、その隕鉄がかなり大きな微惑星~惑星サイズの天体の中央部で生成され、その後その天体が破壊されたことを物語る。 鉄隕石は、衝突によって粉々になった古代の小惑星のコアの破片であり、それは初期太陽系におけるそれらの母天体の融解と分化に起因する。鉄隕石の化学分析と同位体分析によれば、少なくとも約50の異なる母天体が関与していたことを示している。小惑星帯にはこれほど多くの分化した大きな小惑星が存在していたことになる。これらの隕石の圧倒的な大きさは、鉄ニッケル合金のカマサイトとテナイトで構成されている。 隕石により、太陽系の天体をつくった物質がまだ残っていたものと考えられるので、地球や太陽系の歴史、あるいは地球の構造を研究するときの大きな手がかりとなる。実際、地球のような惑星の核は隕鉄が集まって、マントルにはコンドライトchondriteが集まってできたと考えられている。コンドライトは、母天体の融解または分化によって修飾されていない石質(非金属)隕石であれば、初期の太陽系のさまざまな種類の塵や小さな粒子が降着して原始的な小惑星を形成したときに形成される。 惑星の重力に捕らえられたそのような物体のいくつかは、惑星の表面に向かう軌道により降着することにより、最も一般的なタイプの隕石になる。隕石の総個体数に対するそれらの推定値は、85.7%〜86.2%の間で変動する。 隕石の中にはH2Oを鉱物の形で持っているものがある。鉱物の結晶中に水分子としてH2Oを固定している、これを含水鉱物と言うが、他に、窒素Nや炭素Cも含まれる。とくに炭素質コンドライトの中には、H2Oを6%も含むものがある。 地球の材料となった微惑星全体を平均しても、1%くらいのH2Oが含まれていたと考えられる。現在の地球の海水の質量は、地球の質量の0.027%である。つまり、微惑星の中にH2Oが40分の1もあれば、量的には充分ということになる。 微惑星が原始地球に衝突するとその衝撃で加熱され、微惑星や原始地球の鉱物の内部に取り込んでいたH2Oをはじめとする揮発成分(気体になりやすい成分)が吐き出される(脱ガスする)ことになる。そのときの組成はどのようなものであろうか。ここでマグマオーシャンが大きな役割を果たすことになる。 マグマオーシャンが存在すると、マグマオーシャンに溶けやすいH2Oの大部分はその中に溶け込んでしまう。残った大気や溶け込んだ大気はマグマオーシャンと反応する。マグマオーシャンの中に金属鉄が残っていれば、鉄がH2Oから酸素を奪って鉄は酸化鉄になり、H2Oは還元されて水素になる。こうして、大気は水蒸気よりも水素H2が、二酸化炭素よりも一酸化炭素が多い状態になる。 しかし、マグマオーシャンに金属鉄がない状態ではそのようなことが起きない。つまり、核とマントルの分離が起こってしまったあとではH2O(水蒸気)や二酸化炭素という形での脱ガスされる。一酸化炭素COがあったとしても、H2Oと反応して、二酸化炭素CO2と水素H2になる。核とマントルの分離は地球のごく初期の段階で起きていたので、脱ガスの主成分もH2O水蒸気や二酸化炭素ということになる。水素は軽いので、地球の重力では保持できずに宇宙空間に逸散することになる。 また、地球集積の終わりの方で、H2Oをたくさん含む炭素質コンドライトや彗星の集中的な衝突が起こった可能性も言われている。マグマオーシャンが冷えてくると、溶け込んでいたH2Oも脱ガスして水蒸気になる。 こうした脱ガスは地球の初期の段階に集中的に起きて、その後の脱ガスは細々と現在も続いている。現在では衝突脱ガスではなく火山ガスになる。地球のごく初期の核とマントルの分離以降、鉄が核に集約されマグマオーシャンからほぼ失われてからの脱ガスの組成「火山ガス」は、現在とそれほど変わらないと考えられている。実際、火山ガスの主成分はH2O(水蒸気)やCO2である。 原始の地球は、今の地球とは全く違った姿をしていた。物質と物質が衝突すると、熱が生まれる。原始の地球は、激しい衝突の頻発により極めて高温になっていた。微惑星同士の衝突で生まれたのはエネルギーだけではない。水につぐ第二の揮発性物質(脱ガス化)は二酸化炭素であった。そのため二酸化炭素は今よりずっと濃密に大気中に満ちていた。ぶつかった微惑星に含まれていた水や二酸化炭素が水蒸気やガスとして吹き出して地球を覆い、地球の熱を閉じ込める分厚い大気となった。これが「原始の大気」の実態であった。地球の表面を覆っていたのは、「マグマの海magma ocean」で、その成分の中でも、最も重い鉄やニッケルは地球の内側へ沈み、軽い酸素や珪素が主成分となる岩石は表面地殻に移動した。この鉄やニッケルが今の地球の「核」となり、「マントル」となった。 マグマオーシャンがあったとき、メタンや二酸化炭素は一部が大気にあり、一部がマグマオーシャンに溶けていた。地表が固化しマグマオーシャンが消滅すると、マグマオーシャンに溶けていたメタンと二酸化炭素は大気に排出された。 マグマオーシャンがあったときおよびマグマオーシャンが消滅した直後に、水素は宇宙に拡散したために、メタンは燃焼すると水に酸化されて二酸化炭素となる。 CH4(燃焼) + 2O2 → CO2+ 2H2O その結果、マグマオーシャンが消滅した直後にメタンは大気から消滅し、すべてが二酸化炭素になった。 一方、大気中に排出された二酸化炭素は、地表の温度が374℃よりも高いとき、超臨界状態にある水(水蒸気)と共存していた。つまり超臨界流体Supercritical fluidは、臨界点以上の温度・圧力下にある物質の状態であれば、気体と液体の区別がつかない状態になる。溶解度とは、溶媒に溶ける溶質の最大値を言うが、,地表の温度が臨界点(374℃)より少し、例えば370℃くらいに低下すると、海に溶ける二酸化炭素の割合は11%くらいになる。 海に11%ほど溶けている状態が100℃くらいまで一定し、二酸化炭素の溶解度は、その後の100℃程度の温度低下までは海への溶解量はほとんど変化しなかった。100℃より温度が低下すると、海への溶解量が増え始めた。二酸化炭素は、温度が15℃まで低下すると、34%が海に溶けた。 (二酸化炭素の濃度が一定の場合、水温が低いほど二酸化炭素は水に溶けやすく、水温が高くなると溶けにくくなることがわかる。この現象は,温度が高くなると解けている気体の分子運動が激しくなり、溶液から飛び出してくるからである) 海水中にある二酸化炭素と大気中にある二酸化炭素の総量が一定であった場合、海水の温度が上がれば大気中の二酸化炭素濃度は上がり、海水の温度が下がれば大気中の二酸化炭素濃度は下がる。現在の地球は、海水の温度が上がったので、大気中の二酸化炭素濃度が上がったとも言える。 目次へ ![]() |
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3)先カンブリア代 地球が誕生した約46億年前から肉眼で見える大きさで硬い殻を持った生物の化石が初めて産出する5億4,100万年前までにあたる地質時代の一つ、その約46億~5億4,100万年前の時代を「先カンブリア代」と言う。 地球は約46億年前に、太陽の周囲を廻る軌道にあった天体、すなわち小惑星が合体して形成された。やがて星間ガスや宇宙塵などが合体して火星ほどの大きさになり、それがさらに10個ほどの小惑星と衝突して現在の地球となった。このうち最後の衝突はジャイアント・インパクトgiant-impactと呼ばれ、月ができる原因になったとされる。 原始地球の表面は岩石が溶けたマグマの海で覆われ、水は水蒸気や雲として大気中に存在していた。やがて微惑星の衝突がおさまり表面温度が下がると地殻が形成され、水蒸気は雨として降り海洋を形成した。こうした活動が続き、約40億年前には地球のほぼ全体が海で覆われた。
地球そのものの年齢が45億年をやや上回るほどであるため、今回の新発見が、月や最初の大陸群の形成に関する新たな知見を提供してくれることを期待した。 ジャックヒルズの岩石は、太陽系の誕生からわずか1億6000万年ほどで形成されたことになる。研究チームが分析したジルコンの結晶は、地球全体を覆った溶岩の海が冷えてできた、地球の最初期の地殻に由来している。この溶岩の海は、月が生まれるもととなったジャイアント・インパクトにおける天体衝突によって発生した可能性が高い。今回検証されたジルコンの結晶には、それぞれ約50個の原子が含まれていた。これらの原子は、溶岩が固まる際にジルコン結晶の中に閉じ込められたものだ。これらは当初は放射性を持つウランだった物質が、崩壊を経て鉛に変化する、その過程を調べることでこれらの物質の年代が特定できる。 巨大衝突仮説は、テイア衝突とも呼ばれ、1946年にカナダの地質学者レジナルド・デイリーによって初めて提案された月の形成に関する天体地質学の仮説である。この仮説は、初期地球が約45億年前の冥王代初期(太陽系が形成されてから約2,000万年から1億年後)に同じ軌道の火星サイズの原始惑星と衝突し、この衝突イベントの放出物が後に降着して月を形成したことを示唆していた。それも、2016年の報告書で発表された月の岩石の分析では、その衝突が直撃であり、両方の母天体の断片化と、その後に完全な混合を引き起こした可能性があることを示していた。 巨大衝突仮説を裏付ける証拠には、以下の内容が説かれている。 月の軌道は地球の自転と同様の向きを持ち、どちらも太陽系の黄道面(天球上における太陽の見かけ上の通り道)に対して同様の角度を維持している。 月と陸の岩石の13C安定同位体の比が同一であるため、共通の起源を示唆している。 地球-月系には異常に高い角運動量が含まれており、地球の自転・月の自転、・地球の周りを公転する月に含まれる運動量は、他の地球型惑星よりも大幅に高い。これは巨大衝突が、この過剰な勢いをもたらしたと見られた。 つまり月のサンプルは、月がかつてかなりの深さまで溶けていたことを示している。これは、月のサイズと質量の天体の降着から得られると予測されたよりもはるかに多くのエネルギーが必要であり、それは巨大衝突のような非常にエネルギー的なプロセスによる可能性を示唆している。 同じ軌道の火星サイズの原始惑星との直撃衝突により、その放出物が後に降着して月を形成した可能性が高い。月は鉄の核が比較的小さいため、地球よりもはるかに密度が低くなっている。火星サイズの天体が地球に巨大衝突したというコンピューターモデルは、ジャイアント・インパクターgiant-impacterのコアが地球の奥深くまで浸透し、自身のコアと融合する可能性が高いことを示している。これにより、重力によって地球と再融合するために引き戻されなかった軽い地殻とマントルの破片の噴出物で形成された月は、他の惑星体よりも残っている金属鉄が少なくなる。 月は地球に比べて揮発性元素が枯渇している。比較的低い温度で蒸発すると、高エネルギーのイベントで失われる可能性があり、また月の小さな重力ではそれらを捕らえることができず、地球はそれらを捕らえることができる。他の星系でも同様の衝突の証拠があり、その結果、月のように地球とは異なる非一様な構造が観測されるデブリ円盤debris disk(debris;残骸)となった。 揮発性元素は主として水【水素】・二酸化炭素【炭素】・塩素・フッ素・硫黄からなり、現在の大気と海洋の重要な構成成分であり、生命環境にも不可欠な要素である。揮発性元素は、地球形成時にはマントルの中に封入されていたが、形成直後に起きた大規模な脱ガスとその後の火山活動による継続的な脱ガスにより、マントルから大気・海洋に供給された。しかし、現在のマントルにどれだけの揮発性元素が残存しているのか、また大気・海洋からマントルへ揮発性元素の還流が起こっているのかはよく分かっていない。大気・海洋の成り立ちを理解するための地球科学の重要課題として残されている。 巨大衝突は、太陽系の形成に関する主要な理論と一致している。このような巨大衝突のエネルギーは、地球を加熱して全球的なマグマオーシャンを作り出したと予測されており、地球のマントルに沈む重い物質が惑星分化した証拠が記録されている。しかし、他にも残された疑問とは、月がいつから揮発性元素のシェアを失ったのか、また金星もその形成中に巨大な衝突を経験しているが同様の月をホストしていない。 巨大衝突仮説は、テイア衝突とも呼ばれ、1946年にカナダの地質学者レジナルド・デイリーによって初めて提案された月の形成に関する天体地質学の仮説である。この仮説は、初期地球が約45億年前の冥王代初期(冥王代は太陽系が形成され地球が誕生してから約40億年前まで)に同じ軌道の火星サイズの原始惑星と衝突し、衝突イベントの放出物が後に重力により集積して月を形成したことを示唆している。 ギリシャ神話の月の女神セレーネの母としてのテイアの名前が、巨大衝突仮説により地球と衝突して月を作り出した架空の惑星に、その名前を利用した。 40億年前から38億年前の期間に、それまで減少傾向だった隕石の衝突が再び急激に増加したことが月のクレーターの調査から明らかになり、隕石重爆撃期と呼ばれる。しかし、なぜ太陽系ができてから6億年も経った時期に隕石の衝突が増えたのか、原因はまだ分かっていない。 先カンブリア時代の「冥王代(地球誕生の46億年前〜40億年前までにあたる地質時代の一つ。)」「太古代(40億年前〜25億年前までにあたる地質時代)」「原生代(25億年前〜約5億4,100万年前にあたる地質時代)」だけで、地球が誕生してから現在までのおよそ9分の8の年月を占めている。先カンブリア時代の最初の約5億年間を「冥王代」と呼び、そのあとの約40億年前よりあとの生命が誕生していたのではないかといわれる時代が「太古代Archean eon」である。 冥王代Hadean eonは、地球誕生(46億年前)から40億年前までにあたる地質時代の一つ、名称は実態が闇に包まれていることからギリシャ神話の冥界の神ハーデースHadesに由来する。 太陽系を形成する物質は、宇宙空間に広がっていたガスや細かい塵などの星間分子雲であった。分子雲では水素はイオン化されず分子の状態で存在している。そのため分子雲と呼ばれる。水素H2 やヘリウム Heの分子を主成分として、難揮発性元素であるチタンをはじめ、珪素・マグネシウム・鉄・酸素・炭素などが主要元素で、ケイ素や酸素はマグネシウムや鉄とシリケイトsilicate (ケイ酸塩) を形成し、鉄は自身で固体粒子を形成する。炭素はシリコンカーバイド SiCやグラファイトgraphite (炭素Cから成る元素鉱物) を形成する。このように重元素の多くは塵になっているため量を見積もることは難しい。温度は 10K 〜 50K、 密度は 10〜 106 個/cm3 である。しかし温度や密度は、ともに大きなむらがあり密度の特に濃い部分は分子雲コアとよばれ、その集積により恒星と惑星系が生まれる。太陽系が形成される少し前に近傍で超新星爆発があった。爆発の衝撃が引き金となって星間分子雲の物質の収縮が始まり太陽系の形成が始まった。 力学的なシミュレーションによって、原始太陽系がガスや塵の状態から多数の微惑星(サイズは数kmからそれ以上)を経て惑星サイズまで成長するのに数百万年から数千万年かかったと言う。隕石の多くはこの時に生まれた微惑星のかけら(始原的隕石)である。太陽系形成が始まって10万から100万年で、現在の地球の軌道周辺には微惑星が衝突・合体して形成された数十個の「月から火星サイズの惑星胚planetary embryo」が生じ、各々の軌道を廻るようになる。 惑星胚のサイズが大きくなってくると重力が強くなるため、衝突速度が大きくなる。シミュレーションによれば岩石質の微惑星が衝突する際、原始地球のサイズが月サイズ(現在の地球質量の1/100)であれば、衝突の衝撃で微惑星内に取り込まれていたガス成分が抜け出す衝突による脱ガスが起こる。このガスが原始大気や原始海洋の元となったとされる。また原始地球のサイズが火星レベル(現在の地球質量の1/10)になると衝突のエネルギーで微惑星は融解する。現在の地球に微惑星が衝突すれば隕石は部分的に蒸発するようになる。 数十個の惑星胚はお互いの重力で軌道が乱れ、その結果軌道が交差して衝突を繰り返す。このレベルの衝突をジャイアントインパクトと呼ぶが、地球の形成時にいくつか起こったジャイアントインパクトの最後の衝突で月ができた。この時の衝突エネルギーは非常に大きく、衝突後の地球と月は双方とも全体が溶融状態にあった可能性が高い。原子番号72の放射性元素ハフニウム182に関する詳細な分析で、地球と月のマントルの形成が始原的隕石形成の約3,000万年後であったと報告されている。また地球全体が溶融したため、核を形成する鉄とマントルとなるケイ酸塩成分の分離と鉄成分の地球中心部への沈降が起こり、現在見られる地球の層状構造が始まった可能性がある。核の形成の時期や原因についてはいまだ議論が多いようだ。 地球が形成され、地殻と海ができ、有機化合物の化学進化の結果、最初の生命が誕生したと考えられているが、化石はもちろん、岩石自体が非常に稀であり、地質学的証拠がほとんどない時代である。この時代の地層はないため、かつて国際層序委員会ではこの『冥王代』を非公式として扱っていた。2022年11月の改訂で公式のものになった。それが非常に稀なことで、45億年前までの岩石が月で発見されている。 通常地質学で古代を研究するには、その時代に作られた地層や岩石を分析して情報を入手し解析する。しかし冥王代については上記のように当時の岩石が入手できない。その理由の一つとして、巨大な小惑星が地球に衝突し、形成されかけていた地殻をことごとく破壊したと推測されている。 1970年代までは、冥王代における地球の進化の情報がえられなかったが、太陽系内の他の星や隕石を研究することによって実証的な解析ができるようになった。それにより太陽系の形成や、地球誕生時の状況についてはデータに基づくシミュレーションが可能になった。 地球や隕石の年代分析については、放射性元素の分解による生成物を定量して年代を計測する放射年代測定が用いられる。現在、地球の年齢として、地球の岩石をウラン・鉛年代測定法で調査して45億年から46億年、隕石をウラン・鉛年代測定法やルビジウム-ストロンチウム法で分析して45.6億年という数値が出ている。 地球が形成され、地殻と海ができ、有機化合物の化学進化の結果、最初の生命が誕生したと考えられている。化石はもちろん、岩石自体が非常に稀であり、地質学的証拠がほとんどない時代である。非常に稀ながら、45億年前までの岩石は月で発見されている。 地球上の最古の岩石はカナダの北西地域のアカスタの約40億年前のカナダスレーブ地塊の片麻岩(アカスタ片麻岩)、地球最古の鉱物は西オーストラリアのジャックヒルズの珪岩(クォーツァイトquartzite)に含まれる44億年前のジルコン、地球最古の地殻の痕跡はカナダのハドソン地域の片麻岩などのでも、マントルからの分離は42億年前と解析されている。 片麻岩gneissは、鉱物や元素組成による分類ではなく、変成作用を受けた条件によって分類される。主に大陸地殻中部~下部で、高温中圧で形成される変成岩であるため強い変形を受けていることが多い。したがって、変成前の岩石が全く同じ変成岩であっても、変成時の条件によって、片麻岩となる場合もあれば、別の変成岩にもなり得る。さらに、片麻岩の変成前の岩も、1種類ではない。鉱物粒の配向による片理構造の他に、捕獲岩や岩脈などの不均質部分が引き伸ばされることによって生じる特徴的な縞模様が見られ、「片麻状構造」と呼ばれる。そのため、地球上には多種多様な片麻岩が存在する。ただ、石英・長石・雲母などを主成分とする片麻岩が多い。 ジルコンzirconとは、化学組成 ZrSiO4で表される、ジルコニウムZrのケイ酸塩鉱物である。元素名は、宝石のジルコン(アラビア語で金色を表すzarqun)が語源、結晶系は正方晶系を取る。火成岩中に微小な結晶として、ジルコンは地球上で広く産し、風化や変質に強い鉱物なので、砕屑粒子として、砂岩などの堆積岩にも広く見られる。これをジルコンサンドなどと呼ぶが、それらが変成した岩石にも含まれる。ジルコニウムはレアメタルの一つで、その酸化物は融点が高く優れたセラミックス材料として使われる。大気中では表面に酸化膜が出来るため、腐食もされにくい性質を持ち、高温下では酸化物や窒化物をはじめ、各種化合物となり得る。 目次へ ![]() |
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4)片麻岩(先カンブリア紀の楯状地) 片麻岩gneissの定義は他の岩石に比べると曖昧であるが、濃色の部分と薄色の部分が層状に重なった片麻状組織が、ハッキリと見て取れることが前提になる。形成過程は同じだが、変成時の条件が比較的低温で、変成があまり進まなかった物を結晶片岩(片岩)と呼ぶ。これに対して、変成時の条件が比較的高温で、層状に変成が進んだ物を片麻岩と呼ぶ。ただし、あまりにも高温の作用を受けた場合は、結晶片岩になる場合もある。 (英語「gneiss」の「g」は発音しないため「ナイス」に近い発音である。) 片麻岩は、一般的で広く分布している変成岩の一種で、これは、火成岩または堆積岩で構成される地層に作用する高温・高圧の変成過程によって形成される。この岩石は、場合によってはそれ以上の圧力と300°Cを超える温度で形成される。片麻岩は、ほとんどの場合、暗い色のバンドと明るい色のバンドが交互に繰り返され、明確な節理がないという前提で縞柄模様を示す。 片麻岩を形成する楯状地shieldには、露出した先カンブリア紀の結晶質の火成岩と高品位の変成岩の広い領域があり、しかも構造的に安定した領域の場を必要にする。これらの岩石は先カンブリア紀の5億7000万年以上前か、時には約20億年〜35億年前に遡ることもある。それらの領域の場では先カンブリア紀の終わりまで続く地殻変動の影響をほとんど受けておらず、造山や断層、その他の地殻変動が起こらない比較的平坦な地域であり、その縁辺や構造プレート間の活動の場と比べれば、造山運動や断層形成、その他の地殻変動が軽微であった。そう言う楯状地はすべての大陸で存在していた。 先カンブリア代は、現在の地球上で知られているもっとも古い地層や岩石が形成された時代であった。その長さは、少なくとも、30億年以上にわたっていた。その長さは、少なくとも、30億年以上にわたっていた。そのため地球上で最も古い岩石のいくつかは、アカスタ片麻岩などの片麻岩であった。 この時代の地層は、北アメリカのカナダ地方やヨーロッパ北西部のスカンジナビア半島、フィンランドなどの地方に広く広がっていた。アジアでは、中国の北部から東北部、朝鮮半島、シベリアなどの地方に、広く展開していた。ローレンシアLaurentiaは先カンブリア時代に存在した大陸で、地殻としては現在の北アメリカ大陸の大部分とグリーンランド、シベリアとスカンジナビア半島に相当し、カナダは楯状地で安定した陸塊であった。これらの地方に分布する地層は、地層変動が激しくすべて変成岩からできている。特に先カンブリア代前期の地層には花崗岩などの火成岩(深成岩)が割れた岩石が多いだ。また、後期の地層も、大部分は変成岩であるがその中には、石灰岩やその他の堆積岩から変成した岩石が多くみられる。しかも、先カンブリア代の地層群は、変成しているだけでなく激しく褶曲により、その構造が複雑になっている。このようなことから先カンブリア代前期の地球では、大きな地殻変動が頻発し、特に、花崗岩のできるような地殻変動が頻発した。花崗岩は、地球上で最も一般的な岩石で、深成岩に分類され、主に火山活動や地殻変動によって形成される。後期になると、地球上は海と大陸の区別ができ、海では、さかんに堆積作用がおこなわれていたことが知られている。しかし、けっして穏やかな時代ではなく、地殻変動もさかんであったことと考えられる。 先カンブリア代の地層の大部分は、大陸の内部にまとまっていて、盾を横に倒した高原のような地形をしており、盾状地と呼ばれている。カナダは楯状地であった。大陸を構成する地層には、いろいろありますがすべて、この盾状地を中心にして、そのまわりを取り囲むように分布している。そして、盾状地は、大陸全体の地質時代の生い立ちの中心になっていた。盾状地は地球で一番古い地層群からなり、最も早く固まった陸地あるため、現在でも地盤がたいへん丈夫でしかも安定している。そのため、火山や大きな地殻変動などの痕跡は、まったく見られない。例えば、アメリカのニューヨークには、高い建築物が立ち並んでいる。この地域は、北アメリカに広がる盾状地の東南部に当たるので地盤が安定している。 先カンブリア代前期の地層にも、生物の化石か混在している。その化石に、すべて下等なものばかりで、数も少ない。かつてフィンランドの先カンブリア代前期の千枚岩から産出するコリシウムという化石のようなものが発見された。薄い石墨graphiteの膜からなり、細い袋状を呈した。石墨の多くは、変成作用によって有機物を含む堆積岩の中で形成されるものである。石墨は、色も光沢も鉛によく似ている。形は不規則な塊状か土状がふつうで、魚の鱗のようになっている。色は、鉛によく似た黒色で、金属のような光沢があり、条痕も黒色で、比重は2.2、硬度は1.5で、軟らかい鉱物である。 石墨は純粋な炭素のみからなる鉱物で、石墨の結晶の中の微量成分の量は極めて少ない。 石墨の結晶構造は、炭素原子が蜂の巣状に六角形を平面的に連ねた形で共有結合した層と、その層が何枚もファンデルワールス結合で重なる2つの結合形式による。そのため、石墨の劈開(へきかい)は完璧で、層状に剥離しやすい。 このほかに、先カンブリア代前期の地層にはたくさんの石墨を含んでいる。この石墨の起源から考えると、植物性の下等な生物が生きていたと言える。また、同じ時代の地層には、石灰岩や鉄鉱層が豊富に含まれている。既に石灰分や鉄分を沈殿させる働きのある下等な生物が生存していたとも考えられる。 日本の各地でも、いまから2億数千万年前の既に絶滅した原生動物フズリナfusulina(古生代の石炭紀〜ペルム紀)に全盛期を迎えた有孔虫)やサンゴなどがもとになってできた石灰岩が秩父古生層と呼ばれる地層の中に発見され現在、セメントの原料として掘り出されている。フズリナ目が、存続した期間は約1億年と長い、石灰質の殻を持っていたことから、石灰岩中に現れる化石として知られる。古生代末に突然絶滅することから、中生代への転換期に起きた大量絶滅を証明する化石としても注目されている。 沼地などで鉄バクテリアは、水中に溶けている2価の鉄イオンFe2+を酸化することで水酸化鉄Fe(OH)2の殻を作る。バクテリアの死と共に赤茶けた沈殿物となり堆積する。世界の大規模な褐鉄鉱による鉄鉱床は、長年にわたる鉄バクテリアの活動により生成されたものが多い。大陸では、古生代にこうした鉄が厚い層をつくっていて広く分布しているので、世界の鉄の重要な資源となっている。日本でも、群馬県でこのようなものを、鉄の鉱石として採っている。 先カンブリア代後期の地層になると、生物もかなりはっきりする。石灰岩の中からは石灰藻、また石炭層の中からはホウサンチュウや力イメンなどの化石が発見されている。特に、力ナダのモンタナ州ベルト地方の地層からはたくさんの化石が発見されている。この化石は解析され、ナマコ類・クラゲ類・海藻類・ぜん虫類のはい歩いたあと節足動物など、30種以上と報告されている。 安定陸塊craton ![]() 楯状地はすべての大陸で確認されている。北米クラトンは、北アメリカの古代の地質を形成する大きなローレンシア大陸のクラトンで、現在は北アメリカの形をしているが、過去に何度も、ローレンシアは別の大陸であり、かつてはグリーンランドのクラトン地域とスコットランド北西部のヘブリディーズ諸島の地形も含まれていた。 過去の他の時代には、ローレンシアはより大きな大陸や超大陸の一部であり、初期の原生代造山帯のネットワーク上に組み立てられたが、多くの小さな地形で構成されていた。小さな微小大陸と海洋島々が衝突し、成長を続けるローレンシア川に縫い合わされ、今日見られる安定した先カンブリア紀のクラトンを形成した。 カナダの東部と中央部では、安定したクラトンの大部分が、260km2以上を覆う先カンブリア時代の岩石の領域であるカナダ楯状地として表面に露出している。これには、約40億4000万年前のアカスタ片麻岩の太古代岩や、約38 億年前の西南グリーンランドのイスタク片麻岩複合体など、地球上で最も古い岩石の一部が含まれている。 地質の関連性から、ローレンシャン・シールドLaurentia shieldという広い用語がより一般的であるが、これは特に、構造の大部分がカナダの外に広がっているためで、米国では、クラトン岩盤は中西部とグレートプレーンズ地域の広い内部卓状地platformに堆積岩で覆われており、ミネソタ州北部、ウィスコンシン州、ニューヨーク州アディロンダック、ミシガン州のアッパー半島でのみ露出している。堆積岩の配列は、厚さが約1,000 m〜6,100 mを超えるものまで様々ある。クラトン岩は変成岩または火成岩であり、その上にある堆積層は主に石灰岩・砂岩・頁岩で構成されている。これらの堆積岩は、主に約6億5,000万年前〜2億9,000万年前に堆積している。 カナダ北西部アカスタ地方、北極海に面したノースウエスト準州のアカスタ川付近で発見された、黒と白の縞模様が特徴的アカスタ片麻岩Acasta Gneissは、片麻岩という変成岩の一種で、太古の花崗岩が高温高圧変成された岩石である。その縞模様(片麻構造)は変成を受けたときに、形成された。1989年、アメリカの地質学者によって、その片麻岩の年代が測定され、約39億6200万年(誤差は300万年以内)という年代が報告された。 この年代は地球の岩石で最も古いもの、その年代は、片麻岩中のジルコンという鉱物に含まれているウランと鉛を解析し決定された。花崗岩や片麻岩は陸の地殻を構成する主要な岩石で、地球の誕生は約45億5000万年前であれば、誕生から6億年経たないうちに、地球に陸が出現していたことを、アカスタ片麻岩は示している。 楯状地
楯状地も卓状地も、地質(岩石の種類・年代・配列)に基づく地域区分である。いずれも先カンブリア時代の地球誕生~5.4億年前という時代の造山運動によってつくられた岩石(花崗岩・片麻岩など)を基盤岩とした地域で、あわせて安定陸塊 cratonと呼ぶ。 楯状地とは、先カンブリア時代の基盤岩が地表に露出している一帯を指す。こうした地域は長い間の侵食作用によって平坦化され、なだらかな丘陵地・高原になっていることが多く、全体的にみると古代ギリシャ時代の歩兵が使った楯を伏せたような地形のところが多いので、楯状地と名付けられた。 これに対して卓状地は,楯状地をつくる基盤岩の上に、水平か、ごく緩やかに傾いた堆積岩の地層が横たわっている地域である。安定陸塊の大部分は、古生代以後(5.4億年前~現在)の造山帯に比べ長い期間、激しい地殻変動がおこらず「安定」している地域であった。それでも安定陸塊も古生代以降は、緩やかに隆起したり沈降したりし、気候の変化や海洋底の沈降状況によって海水面が上下するため、その一部がしばしば海底になりもした。この海底の当時に土砂がたまり、基盤岩の上に堆積岩の地層が形成されたのが卓状地である。その後、再び陸地に復帰し、堆積岩は徐々に風化するが、それでも堆積岩が残存する陸地が卓状地と呼ばれた。 アフリカ大陸は、北部にアトラス山脈(新期造山帯)、南部にドラケンスバーグ山脈(古期造山帯)がある以外は、全土が安定陸塊である。新期造山帯のアルプス・ヒマラヤ造山帯が、アラビア半島の北側を通っているが、アラビア半島もほぼ安定陸塊である。カナダ卓状地は、ハドソン湾の周辺から五大湖の北側くらいまで広がっている。オーストラリアは、東部にグレートディヴァイディング山脈(古期造山帯)があるが、ほぼ安定陸塊と言える。インド楯状地では、デカン高原が広がっている。 楯状地は通常、大陸の中核をなし、カンブリア紀の褶曲した岩石によって縁取られている。地質学的に安定していたため、多くは長い間の浸食作用により現在では準平原となり平坦化されている。準平原は先カンブリア時代に隆起した地面が、長い時間をかけて川の流れなどの侵食によって削られてできたゆるやかな地形で、構造平野のような一回海中に沈むという地殻変動を通らずに、単純に先カンブリア時代の地層が、そのまま風化侵食されててきた地層である。しかし、一般に楯を伏せたようにきわめてなだらかな凸面であることが多い。周辺には浸食堆積物で表面が覆われたプラットフォームplatform(卓状地)が囲んでいる。 プラットフォームは、構造地質学における大陸地殻の分類に関する用語であり、地形学的に台地plateauに分類される地域のうち、地球の初期に火成岩と変成岩が一体化してできた基盤岩が、ほぼ平坦または緩やかに傾斜した、主に堆積岩からなる、被覆物によって覆われた地域を指す。プラットフォーム、楯状地および露出した基盤岩が安定陸塊を構成している。 安定陸塊は、通常は大陸の内部で見つかる。特徴として、花崗岩など低比重の珪長質の火成岩から成る、古代に形成された結晶質の基盤岩の地殻を有する。 これらは、厚い地殻と、マントル の中、200 kmの深さまで及ぶ根(下部リソスフェア)を持っている。 ![]() これらは、最低でも過去5億年、大陸の合体や超大陸の分離の影響をほとんど受けなかった大陸地殻の古い安定な部分であり、中には30億年以上存在してきたものもある。このため安定陸塊の地表部分では侵食が進み、台地や準平原、構造平野などを形成している。 準平原は、安定陸塊のでき方に注目すれば、侵食輪廻の最終段階、先カンブリア時代の地層が長期間、侵食されてできたゆるやかな地形、つまり安定陸塊の中の楯状地に見られる。構造平野は、古生代・中生代の地層が長い間、侵食されてできた地形であるため、水平な地層が削り出されて作られた平坦な低地となり、安定陸塊の中の卓状地の形と一致する。 アカスタ片麻岩 主要な造岩鉱物には、色の濃い有色鉱物(Mg・Feを含む苦鉄質鉱物)と白色の無色鉱物(珪酸SiO2が多い珪長質鉱物)があり、有色鉱物の量を色指数と言う。橄欖石・輝石・角閃石・雲母族鉱物などが有色鉱物になる。 火成岩はケイ酸SiO2の含有率の多い順で、珪長質岩(酸性岩)・中性岩・苦鉄質岩(塩基性岩)・超苦鉄質岩(超塩基性岩)に分けられている。一般的に珪酸 分が多いものは色が明るく、少ないものは色が暗い。 ![]() 珪長質鉱物は、珪酸SiO2とアルミニウムAlを多く含む鉱物で、一般に無色から白っぽいものが多い。石英・斜長石・アルカリ長石などが代表的なもので、珪長質鉱物は苦鉄質鉱物より比重が小さく、花崗岩や流紋岩などの酸性岩の主要鉱物である。酸性岩には珪長質鉱物が多く含まれるが、玄武岩や斑糲岩などの塩基性岩にも含まれている。 苦鉄質maficは、鉄イオンのFe2+やFe3+とマグネシウムイオンMg2+が豊富な苦鉄質鉱物または岩石を表す形容詞で、英語のmaficは、マグネシウムと鉄が豊富に含まれている事から、ferricとmagnesiumから作られたかばん語である。ほとんどの苦鉄質鉱物は色が濃く、相対密度は3より大きい。一般的な岩石形成苦鉄質鉱物には、橄欖石・輝石・角閃石・黒雲母などがある。一般的な苦鉄質岩には、玄武岩と斑糲岩が含まれる。「苦土」と言う名称はかつてマグネシウムのことを指したことに由来する。苦鉄質岩石の特徴はは、橄欖岩・玄武岩・斑糲岩などに顕著に表れる。 斑糲岩gabbroは、深成岩で有色鉱物の角閃石や輝石を多く含み、岩石全体が黒っぽいが、斜長石の白い部分が巨晶化して美しく目立つものも多い。難しい漢字の糲は「くろごめ(玄米)」のことで、粒状で黒い斑点のある石という意味らしい。黒色の斑糲岩は特に「黒御影」としてよく石材に利用される。 超苦鉄質鉱物ultramafic rockは、ほとんどが橄欖石・輝石・角閃石などの苦鉄質鉱物mafic mineralからなり、長石や石英などの珪長質鉱物felsic mineralにはほとんど含まない岩石で、SiO2含有量が非常に低い45%未満、SiO2含有量から定義された超塩基性岩とほぼ同じ意味で用いられることも多い。 火山性の超苦鉄質岩は太古代以外ではまれであり、基本的に新原生代Neoproterozoic(約10億年前~5億4200万年前にあたる先カンブリア時代最後の地質時代)かまたはそれ以前に限られている。新原生代は、エディアカラン・クライオジェニアン・トニアンの3つの紀に分かれる。新原生代初期には、赤道付近に中原生代後期に形成されたロディニア超大陸が存在した。既に新原生代においては、3度の氷河期があったことが知られている。 約7億1,700万年前から約6億4,300万年前に亘るスターティアン氷期には、オーストラリア南東部とカナダ北部の新原生代層序には氷河性岩石が顕著に分布している。2010年には、カナダの氷河堆積物に挟まれたその火山岩層が、ウラン・鉛年代測定法により約7億1650万年前のものであると推定されている。古地磁気学的研究により当時のカナダは赤道付近に位置していたことが示唆されており、地球全域が氷河氷床に覆われたスノーボールアースの状況にあったことが推測されている。 エディアカラン紀(約6億3,500万年前〜5億4,200万年前)には、最古の動物を含む多細胞生物最古の化石が発見されている。当初、見つかった化石は、骨も殻もない柔らかな生物ばかりで、まだ身を守る必要がなかった、つまりまだ弱肉強食のない世界だったと言われていたが、この時代の後半の地層からは、1mm以下の微小なトゲや殻状の化石が見つかっている。これが現状最古の本格的な食物連鎖が始まった証拠とされた。 コマチアイトkomatiiteは、高温のマントルが溶融することで形成される超苦鉄質の火山岩である。地球内部が現在よりも高温だった太古代の特徴を示した。現在の地球ではコマチアイト質のマグマ活動は不可能である。 橄欖石や輝石が急冷されてできる樹枝状や針状の結晶集合による幾何学的模様がスピニフェックス構造と呼ばれコマチアイトの特徴になる。 (スピニフェックスSpinifexはイネ科の多年生沿岸植物の属で、アフリカ・中東・アジア・オーストラリア・ニュージーランド・ニューカレドニアの海岸沿いの砂丘に生える最も一般的な植物の1つ。) スピニフェックス組織は、高温のマグマが急激に冷える時に、橄欖石の結晶が細長く伸びるように成長してできたと考えられている。ただし、蛇紋石という別の鉱物に変質している。コマチアイトのマグマは、1,650℃以上でなければできない。このような高温のマグマを噴出するような火山は現在どこにもない。現在見られる高温の玄武岩マグマでも1,200℃くらいが限度である。コマチアイトは、原始地球が高温だった証拠になっている。
主にトーナライトと花崗閃緑岩質片麻岩で構成されており、苦鉄質と超苦鉄質の片麻岩は少ない。それは、約13,000 km2の領域にわたる新生代第四紀の氷河時代の堆積物が薄く覆い、その根底にある地殻の大部分が隠されていた。アカスタ片麻岩複合体には、現在知られている最古の地殻の断片と、約40億年以前〜29億年前の火成活動と変成作用の記録が含まれていた。アカスタ片麻岩複合体は、古原生代Paleoproterozoic、原生代最初の地質時代の約25億年前〜16億年前の長期にわたる多段階的な過程を経て大陸が安定陸塊になったことを示す。 シアノバクテリアcyanobacteriaは、酸素を生成した最初の生物であり、おそらく地球上に存在した生物の中で最も多くの分類群があり、しかも研究が進むにつれ、新たな種や亜種が見つかっており、その多様性と全容は未だ解明されていない。太古代中期(約32億年前〜28億年前)に出現し、明らかに淡水または陸生の環境に適応する。酸素発生型光合成を行う細菌の一群であるため藍藻とも呼ばれが、原核生物である点で他の藻類や陸上植物(どちらも真核生物)とは系統的に大きく異なる。しかし、陸上植物のものも含めて全ての葉緑体は、細胞内共生において取り込まれた藍藻に由来すると考えられており、藍藻は植物の起源を考える上で重要な存在である。酸素発生型光合成は、植物の光合成の基本原理でもあり、酸素発生型光合成を行う原核生物の祖先は地球上に出現し、初めて酸素発生型光合成を開発した。 その特定の波長の光を選択的に反射、または吸収する光顔料は、太陽光の赤と青のスペクトル周波数を吸収し(したがって緑がかった色を反射)、その光エネルギーを利用して、水分子を電子供与体とし、水素イオンと酸素に分解することで、その水素イオンにより二酸化炭素の炭素を固定し炭水化物などの複雑な有機化合物を生成する。この炭素固定として知られるプロセスの副産物として酸素が放出される。その大気中の酸素を吸収しして生物の殆どは、その活動エネルギーを効率よく生産した。当時の地球上でシアノバクテリアが大繁殖した。その結果、それまでの酸素を含まない嫌気的な大気に酸素を供給することとなり、実際には酸素レベルが急上昇した時期もあったが、現在に近い酸素を豊富に含む好気的大気に変えていった。 カナダ地質調査所 発行(1969年)の 氷河地図によると、イエローナイフ付近における北アメリカの氷床複合体の氷床は、最終氷期にあたるウィスコンシン氷期Wisconsin glacial stage(約75,000年〜11,000年前)の9,600年前に溶けている。しかしこの付近の太古代からなる地表の研磨面にみられる氷河に削られた氷食溝glacial groovesの溝に寝ている大人を、横から眺めると人影として見られない程に深い氷食溝は数多くある。氷食擦痕は通常、走向は北東〜南西へ流れ、意外に真新しく保存されている場合が多い。 これは、氷食痕跡が保存されやすい環境によるものか、近年、局地的に新しい氷食浸食があったことによるものか明らかではない。 アカスタ片麻岩は太古代の形成で、39億年前(±3億年)の地球最古の岩石である。この最も古い岩石からは、その形成後の激しい地殻変動に伴う変成作用のため、当時の地球表層の環境をうかがい知ることはできなくなっている。このスレイブ・クレイトンと呼ばれる地質複合体(安定陸塊)は、カナダ楯状地 Canadian Shieldの一部に過ぎない。カナダ楯状地は北アメリカ大陸の中央のローレンシア地塊laurentian crust(北アメリカ・クラトン)から北部カナダに広がる先カンブリア時代の冥王代約45億年前〜原生代5億4,100万年前に亘る片麻岩や花崗岩で形成された非常に広大な岩盤で、氷河で何度も浸食された表面には薄い土の地表が薄く重なるだけである。原始より安定していたが、風化浸食されたため楯を伏せたような緩やかな構造を示すので楯状と呼ばれている。南部では森林に覆われ、北部ではツンドラになっている。人口は疎らであるが、水力発電の潜在力を有し、鉱物資源が豊富な地盤で、金・銀・ウラン・銅・亜鉛が産出されている。 ローレンシア台地とも呼ばれる薄い土壌が覆っただけの岩石地域が、北米あるいはローレンシア地塊(北アメリカ・クラトン)の核となり、五大湖から北極海、グリーンランドまで広がる。カナダ楯状地は太古代のプレートが寄せ集まって形成され、その後、原生代の地質や堆積盆地が付加したもので、24億5,000万年前〜12億4,000万年前に合体が進み、19億年前〜18億年前の原生代にはカナダ楯状地と北アメリカ・クラトン(ローレンシアとも呼ばれる)の衝突により原生代の地殻も形成された。この最初の主要なトランス・ハドソン造山運動Trans-Hudson Orogenにより、北米大陸は築かれ最も成長した。 北アメリカ・クラトンは、現在の北アメリカ大陸の大部分と、グリーンランドを含む大陸地殻の一部分である。しかし、約19億年前〜12億年前にかけて存在していた最古の超大陸であるヌーナ大陸 (Neuna、Nuna または Nena) の一部とも考えられているので、スカンジナビア半島を中心とするヨーロッパ大陸の一部も含まれる。その後、6億年以上に亘って安定して存在していた。この地域は、先カンブリア時代の古い変成岩と火成岩の基盤岩が、相対的に薄く若い堆積層でほぼ覆われた構造になっている。 約11〜12億年前に、クラトンの中央部で分離活動が起き、地溝帯が形成された。この時に形成された地溝帯が「中央大陸リフト」と呼ばれる。現在のスペリオル湖の位置から西はカンザス州、そして東はオハイオ州に至る地域で、全長約2,100kmのU字形の裂け目が生じた。このときの地溝帯の一部が現在スペリオル湖北部に当たる。 中央大陸リフトは、マントルプルームによって形成されたと言う。つまりハワイ諸島が形成された過程と同様に、地球内部のマントルにおける高温の上昇流によって、地殻に裂け目が生じた。その裂け目からは主に玄武岩質の溶岩が流れ出し、標高の低い楯状火山を形成した。スペリオル湖地域では、火山性溶岩は既存の盆地を埋め、通常より厚みのある玄武岩溶岩の地層を作った。最大規模とされる「グリーンストーン溶岩流」では、約488mも堆積したと言う。その大規模な溶岩流の痕跡が、ミシガン州北部キーウィーノー郡のキーウィノー半島で見られる緑と黒の岩石であり、およそ3,000万年の間に中央大陸リフトは、100万km3強の火山岩を噴出している。これは、五大湖の総容積の44倍に当たる。 さらに5億7,000万年前頃には、現在のアパラチア山脈の北側に沿う形で北東から南西に延びる地溝帯「セントローレンスリフト」を形成した。この活動の痕跡が現在のセントローレンス湾・セントローレンス川・オンタリオ湖からエリー湖へと続く地溝帯である。しかしいずれもクラトンの分離には至らなかったようで、2つのプレートが衝突して、別の大陸地殻が合体、融合したものか、海洋プレートが沈み込み帯に沈むにしたがい、海洋地殻が海洋プレートから引き剥がされて、大陸に付着した「付加体」であった。 先カンブリア時代の古い基盤岩が、その後のプレートの衝突で変形される。衝突の力は、しばしば大陸の内部深くまで達すると大褶曲や大断層を形成する。地殻が隆起した場所では、これらの褶曲や断層が地表に露出する。 北米大陸は最初に海面より上昇してから、その後の海の進入を免れ続けて来た。そのため地球上で太古代岩石が最も広く露出する場所となった。変成基盤岩類は大部分が先カンブリア時代に繰り返し隆起し風化侵食に晒されてきた。今日見られるのは標高300〜600mの低い山地である。氷河期には氷が地面を押し付け、無数の湖をかき取り、土壌を運び去った。この氷河作用も水系が発達していない原因になっている。 目次へ ![]() |
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5)冥王代の海の誕生
46億年前に太陽系が形成され地球も誕生した。その後、太陽系の一番大きい惑星木星は、約45億年前にガスと塵の雲の重力圧縮によって形成された。太陽の形成後に残った物質のほとんどを、その圧倒的な重力で集約したと言える。約40億年前、木星は太陽から5番目の惑星として現在の位置を占めた。木星の構造はほとんど変化していない。木星のようなガス状惑星の内部には、この金属水素が豊富に存在していることが、さまざまな観測の結果により予測されている。木星の中心には地球の10倍から45倍の大きさの岩石の核があって、そのまわりを分厚い水素の層がおおっていると考えられている。この水素の層は木星全体の約80%を占めている。 水素の層の中心から3分の2の部分では、400万気圧以上の極端な高圧のおかげで、電子が原子核に束縛されずに金属中の伝導電子のようにふるまえる状態、すなわち導電性を持った金属水素の状態に変化している。その金属水素は木星の強力な磁場の発生に関与している。水素の層の残りの3分の1は、金属化していない液体水素の状態にある。 木星の質量は地球の約318倍で、その木星の重力は、地球の重力の約2.3倍であると言われている。その赤道半径は71,492 kmで地球の11倍あるが、密度は1.33 g/cm3で地球の0.24倍に過ぎない。このように密度が小さいのは、木星が水素とヘリウム、そしてわずかなメタンとアンモニアといったガスでできているからである。それでも、内部は高い圧力によってガスは液体状に、更にそのでは固体状の金属水素に、そしてその中心部が地球のような岩石や鉄でできていると考えられている。 誕生後、「金星」と「火星」は変化した。「火星」は、地球よりかなり小さな星で、主に岩石・金属などの難揮発性物質からできている地球型惑星で、火星がうっすらと赤く見えるのは、 表面に水が無く、酸化鉄、つまり「赤さび」が地表に大量に含まれているからで「Red Planet」とも呼ばれている。地球のほぼ半分ほどの直径で、質量は地球のほぼ10分の1であり、 火星の地表の重力は地球の40%くらい、火星の表面温度は平均-55℃である。 金星の大気よりも遙かに希薄であるが、同様に主に二酸化炭素で構成されている。生命の存在を示唆する痕跡量のメタンが検出されたが、メタンは火山や熱水噴出孔でも生成しうる。また、太陽が当たる表面の赤道近くでは20℃ほどになり、 極付近は-153℃まで下がるといった、非常に広い温度差があり、温度は地球と比べればだいぶ低くて、水も無ければ生き物が生活するには無理がある。 「金星」には海が無く、そのため大気は二酸化炭素が大半を占め、原始地球の大気の状態に止まる。一方、地球には海があり、二酸化炭素は海にとりこまれ、大気は窒素や酸素が主体になった。このことが、地球にだけ生命が誕生し、進化してきたことと大いに関係がある。 地球が誕生した当初は、二酸化炭素が大部分を占めていた。同じ岩石型惑星である金星および火星の大気とほぼ同じであったが、地球は次第に二酸化炭素が大気中では極めて減少し、酸素が増加する一方、窒素は安定しており、アルゴンが少しずつ増加した。 地球の地表付近の温度が低下して地殻ができ、火山の噴火活動が盛んになった。この噴火にともなって、二酸化炭素とアンモニアが大量に放出された。大気中には、水蒸気と多少の窒素も含まれていたが、酸素は存在しなかった。 この二段階目の原始大気には、二酸化炭素が大半を占め、微量成分として一酸化炭素と窒素、水蒸気などが含まれていたと推定されている。ちょうど現在の金星や火星の大気に近いと言える。高濃度の二酸化炭素が温室効果により地球が冷えるのを防いでいた。 古い変成岩に含まれる礫岩(堆積岩)の痕跡などから、約43億年前~40億年前に海洋が誕生したとみられる。海洋は、原始大気に含まれていた水蒸気が、火山からの過剰な噴出とその後の温度低下によって凝結して、雨として降り注いで形成されたものであった。 海洋は、原始大気の半分とも推定される大量の二酸化炭素を吸収・溶解していった。 また、二酸化炭素CO2の一部はカルシウムイオンCa2+と結合して、石灰岩(炭酸カルシウム CaCO3)として海底に堆積するようになった(二酸化炭素減少の第一段階) 。 40億年前には、海水中にも大気中にも酸素はなかったので、最初の生物は酸素呼吸で生活する生物ではなく、現在も深海底の熱水噴出孔周辺で生息している化学合成バクテリアが利用するエネルギー源は、硫化水素・硫黄・酸化鉄(II)・水素分子・アンモニアなどがある。 (鉄バクテリアとは、水溶性の二価の鉄イオンFe2+や二価のマンガンイオンMn2+を酸化するバクテリアの総称で土壌微生物である。バクテリアは、三価になった鉄イオンFe3+により水酸化鉄Fe(OH)3の殻を作る。これらはバクテリアの死と共に赤茶けた沈殿物となり堆積する。世界の大規模な褐鉄鉱による鉄鉱床は、長年にわたる鉄バクテリアの活動により生成されたものが多い。) 後期重爆撃期は、アメリカのアポロ計画で持ち帰った月の石の分析結果から判明した。約41億年前~38億年前の長期に.亘って集中的に大量の巨大な隕石が月に落下した。月の表面に黒っぽく見える「海」は、大きな隕石が衝突して月の地殻がえぐられ、その下のマグマが溶解して溜まったマグマ.由来の玄武岩質溶岩の低地であった。天体衝突に由来する月面の溶融岩石の大部分がこの短い期間に作られたと示されている。アポロ計画で持ち帰ったその「海」の石の年代分析を行った結果、形成時期が38億年から40億年前であることが解析された。地球は月のすぐ近くに存在し、しかも重力がより大きいので、この時期に地球にも月と同等以上の隕石が落下したと考えられる。当時地表に地殻が形成されていたとしても、隕石落下の衝撃で地質が破壊され尽くし40億年より古い岩石はほとんど残っていない。この時期に生命が存在していた証拠は無いが、もし存在したとすると巨大隕石衝突のエネルギーですべての海水が蒸発するような悪条件の中でも生き残ったことになる。生物の遺伝子分析によれば最も古い生物は熱に強い好熱菌や超好熱菌に分類されるので、隕石の重爆撃期生き抜けた種もあるかもしれない。 後期重爆撃期とは、天文学・地球惑星科学において41億年前から38億年前の期間を指す言葉であり、ここで言う「後期」とは星間物質の衝突集積による惑星の誕生・成長の時期を前期とし、惑星形成後の衝突を示したものである。この時代には月に多くの隕石衝突によるクレーターが形成され、地球同様、水星・金星・火星といった岩石惑星も多くの天体衝突を受けたと考えられている。 32億年前、藍藻シアノバクテリアが海中に誕生し、太陽光エネルギーを利用して光合成を行う。二酸化炭素と水から有機物と酸素が生成されるようになった。 27億年前、シアノバクテリアが大量発生し、酸素の供給量が増加、大気中の二酸化炭素はさらに減少した(二酸化炭素減少の第二段階)。 酸素の大量供給により、海水中の鉄イオンと結びついた酸化鉄の大規模な沈殿が繰り返し起きた。これが縞状鉄鉱層で、20億年より前の世界中の海の地層中に見られ、現在の人類には不可欠な鉄鉱石を供給する鉄資源となっている。 また二酸化炭素は、生物の体内に炭素として蓄積されるようになり(炭素固定)、長い時間をかけて生物由来の燃料や、生物の殻からできる石灰岩などの堆積岩といった形で固定された。 海中で飽和状態に達した酸素が大気中に放出され始める20億年前、酸素と結びつく鉄イオンがすべて使いきられると、酸素は大気中に放出され始める。空中の酸素O2は、紫外線に反応しオゾンO3に変化した。 酸素濃度が低かったころは地表付近にとどまっていたオゾン層は、濃度が上昇するにつれて高度を上げ、現在と同じ成層圏まで移動して落ち着いた。これにより地表では紫外線が減少し、生物が陸上にあがる環境が整えられた。 オゾン層完成 4.2億年前頃、植物が地上に現れて以降は酸素が著しく増え、二酸化炭素は大きく減少する。そして、現在の大気組成に至る。 ![]() 生物の窒素含有量は、生物の種類や環境条件によって変動し、個々のの種や組織によっても異なるが 、一般的に動物の体重の約3%~4%が窒素で構成されている。主にタンパク質や核酸に含まれる窒素である。 植物の窒素含有量は、元よりその分類ごとに異なるばかりか、組織の種類や植物の成長段階によって異なる。しかも、葉や茎は窒素を多く含み、根や木部(リグニンを含む部分)は比較的少ない。植物全体としては、乾燥重量の約1%~5%が窒素で構成されている。 一方、バクテリアや真菌類などの微生物の窒素含有量は非常に高く、乾燥重量の約10%~15%を占める。これは、微生物が迅速に分裂し成長するために多くのタンパク質や核酸を必要とするためである。 通常、気体の水に対する溶解度は低い。窒素や酸素、二酸化炭素は水に溶けるものの、こうした気体はイオンを作らない。水には少量の気体のみが溶けることができる。このとき、気体の溶解度は分圧に比例することが知られている(ヘンリーの法則)。このヘンリーの法則が成り立つのは、窒素や酸素、二酸化炭素など、水と反応しない気体に限定される。こうした気体の場合はイオンを作らず、水への溶解度が小さいため、ヘンリーの法則が成り立つ。 「温度が同じの場合、圧力が2倍になると体積は1/2になる。これはつまり、2倍の分子が濃縮されていることを意味する。また溶けることのできる気体の体積は同じなので、結果として2倍の物質量の気体が水に溶ける」。 反応性の弱い、しかもほとんど水に融けない窒素を水に溶けやすい形に変えているのがバクテリアで、それを植物が吸収する。その植物を動物が食べることで窒素が獲得され、その死骸がバクテリアによって分解される時に、窒素は再び大気に戻る『窒素循環』。 自然界において、動物の排出物や、植物の枯れ枝・枯葉、そして、それらの死骸は、分解者とよばれる生物たちの働きで分解される。この時、生物のからだを構成していた窒素もまた「土に返る」。窒素を含んだ有機化合物は分解され、無機化合物であるアンモニウムイオンNH4+になる。 アンモニアそのものは毒物として作用する。ありがたいことに、土の中にはアンモニウムイオンを酸化させ、亜硝酸イオンNO2−という別のイオンに変える役割をもった細菌、亜硝酸菌が住んでいる。さらに、亜硝酸イオンNO2−をさらに酸化して硝酸イオンNO3−に変える硝酸菌という細菌もいる。亜硝酸菌や硝酸菌は、それぞれのイオンを酸化する際に得られるエネルギーを利用して、代謝(炭酸固定)を進める。それだけでなく、硝酸菌の生み出した硝酸イオン NO3−は植物にとって吸収しやすい状態なので、植物は、土壌中の窒素を、主にこの硝酸イオンの形で利用する。その硝酸イオンの一部は、細菌の働きによって気体の窒素分子となり、大気中へ放出される。この作用を「脱窒(だっちつ)」といい、硝酸イオンを窒素分子に変化させる細菌は脱窒菌と呼ばれる。こうして、土壌中に化合物として存在していた窒素は、大気へと移動していく。 海を持つ太陽系唯一の惑星、それが地球である。これには太陽系や地球の成り立ちが大きく関係している。今から約46億年前に原始太陽と小さな惑星が形成され、これらの小惑星が衝突を繰り返して地球やその他の惑星などによる太陽系が形成された。この頃の地球は、微小惑星同士の衝突エネルギーと水蒸気大気の保温効果で地表面の温度は1,500℃以上になり、地表には鉱物が溶けた海洋形成前のマグマオーシャンからの脱ガスによる寄与が大きく、二酸化炭素と窒素、水蒸気を主成分とする弱酸化的な大気であったと考えられている。まだ液体の水は存在していなかった。 原始の地球が誕生した当時は、火山噴火が頻発し、軽い揮発性の気体と水蒸気がマントルと地殻から漏れ出していた。気体は主に一酸化炭素、二酸化炭素と窒素で構成されており、その一部が地球の重力に引かれて、現在の大気の素を形成するようになった。 さらに、地表が300度に冷えると水蒸気は凝縮して雲となり、雨が降り出す。何日も降り続く雨は、始めのうちは瞬時に蒸発していたが、それが続くうちにマグマオーシャン広がっていた地球を冷やすほどの、洪水のような豪雨となり、その一部は地表の低いところに流れ、海が形成された。やがて薄くなった雲から太陽の姿が現れる。 こうして、少なくとも約38億年前に水の惑星が誕生する。グリーンランドでは約38億年前の地層が見つかっており、そこから火山から噴出したマグマが海水によって冷やされて出来る枕状溶岩と、川によって運ばれた礫が海底に堆積して固まった、堆積岩の1種である「礫岩」が見つかっている。堆積するには海が必要であるから、海があった証拠の1つとなる。 枕状溶岩とは、海底で噴出したマグマが海水で急激に冷やされ、米俵のような形になった枕が積み重なる光景から、枕状溶岩という名前が付いた。枕状溶岩ができるためには、マグマが海水中で急速に冷え固まる必要があるので、その時に海が存在した証拠になる。 地球が現在の大きさ近くになると、地表の温度が徐々に下がり、大気中の水蒸気が雨となり海を形成した。この雨には火山ガスに含まれる塩化水素ガスHClや二酸化硫黄ガスSO2が溶けて酸性であったので、地殻の鉱物を溶かして、ナトリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄・アルミニウムなどの鉱物の成分を海に溶かし込んだ。こうして、地球誕生後約1億年の間に、地球上のほとんどの元素を含んだ塩辛い、後に生命を生み出す源泉となった海の原型ができ上が った。 冥王代地球の大気には、遊離酸素はほぼ皆無であり、一方で大量の二酸化炭素(数気圧)が存在していたと考えられている。鉱物を溶かし込んで中和された海水に、大気中の二酸化炭素が溶け込み、地球の大気は窒素を主成分とする大気に進化した。そして約35億年前の光合成生物の誕生により、光のエネルギーを使って二酸化炭素と水から有機物が合成され、同時に気体の酸素分子が生成されて現在の大気が組成された。 海水中では、溶け込んだ二酸化炭素や酸素の働きにより、原始の海に含まれていた様々な成分が沈澱して取り除かれ、主にナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl-を含む、現在の塩辛い海水の組成に変化した。この塩辛い味は、ナトリウムイオンと塩化物イオンの組み合わせが示す特徴でもある。 現在の1リットルの海水の中には、平均で35gの物質が溶けている。このうちの大部分は正の電荷をもつナトリウムイオンと負の電荷をもつ塩化物イオンである。この2つから塩化ナトリウムNaCl になるため、海水を舐めるとしょっぱく感じる。これは、だいたいお味噌汁の3倍くらいの濃さである。 これらのイオンは地球ができて間もない約46億年前に遡る。当時の地球はとっても熱く、大気は水蒸気・二酸化炭素・塩化水素など様々なガスで覆われていた。その後、地球がだんだん冷えてくると水蒸気が雨となって地表に降りそそいで海が誕生した。この時の雨は塩化水素が豊富に溶けていたため、塩化物イオンを含み酸性の性質をもっていた。これが岩石の成分であるナトリウムを溶かして海に運んだ。同じように、冥王代の海水中の他のイオンも火山ガスと岩石の成分が起源である。 目次へ ![]() |
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6)冥王代の地球最初の大陸の形成 隕石と隕石が引き付け合い衝突するうちに、どんどん大きくなり、重い元素は中心方向に沈んでコア(核)となり、原始の地球が誕生する。隕石の衝突による熱源でドロドロのマグマに覆われていた地表が、衝突が収まりだすと冷え始めて軽い物質がさらに分離し、マントルと地殻の違いが生じる。 冥王代の岩石は、頻発する隕石による破壊で地球上ではほとんど存在していない。そのため冥王代当時の環境を、地球上で探るのは困難である。月は古い時代で既に活動をストップし、隕石による破壊も少ない。そのため月をくわしく調べれば、冥王星当時の地球様子がよく分かる。月は私たち人類がはじめて訪れた地球以外天体である。 地球に冥王星時代の岩石や地層がほとんどないのは、地球が活動しているためである。地球の表層は、大気や雨、川・海によって常に変化している。また地球内部の熱は、マグマを形成し地殻を更新し続けていた。このような長年にわたるさまざまな地球の営みが、地表の古い歴史の痕跡を破壊していった。 誕生初期の頃は惑星同士の衝突の運動エネルギーが熱エネルギーに変わることで地球の表面は高温のマグマの海に覆われていた。(これがマグマオーシャン) 誕生初期は地球の周りにいくつもの小惑星が飛び交い、それらが頻繁に地球に衝突してい。この過酷な環境で謎も多いため、地球が誕生してから数億年の間はギリシャ神話の冥界の王ハデスに因んで冥王代という呼び方もされていた。 その小惑星同士の衝突の痕跡も現在の地球には残っていない。その一方、大気がない月の表面にはあちこちに小惑星との衝突痕が残されている。調べてみると年代の古いものほど密集している。誕生初期に小惑星が集中して衝突したことが月の表面からも伺えた。 地球の表面が一応固定するのは、この小惑星の衝突が落ち着いた後で、太陽のように核融合反応していないので、小惑星などが衝突して来なければ、熱が宇宙空間に逃げるだけで、そのまま順調に冷え固まって安定するはずであった。 地球誕生の5億年後に襲った後期重爆撃期とは? 現在地球上で最も古い物質だと考えられているのは、西オーストラリアで発見されたジルコンと言う鉱物の粒子で44億年前に生成されたものとされている。ジルコンは化学組成 ZrSiO4で表される、ジルコニウムZrのケイ酸塩鉱物である。地球上で広く産し、風化や変質に強い鉱物なので、砕屑粒子として、砂岩などの堆積岩にも広く見られる。ジルコンは大陸地殻の主要な成分でもある、花崗岩や安山岩が作られるときに結晶化する鉱物である。 花崗岩は、地球上で最も一般的な岩石で、深成岩に分類され、主に火山活動や地殻変動によって形成される。花崗岩は、深部でゆっくりと冷え固まることによって、粒状結晶構造を持つ特徴的な岩石で、その名前の由来は、岩石中に見られる美しい花のような模様と鮮やかな色合いが特徴である。主に美観を重視する場所で使われる。その成分は主に長石・石英・斜長石からなる。 安山岩は、火山岩の一種で、マグマが地表付近で急に冷えてできたもの、主に火山活動によって形成される岩石、主成分として斜長石・輝石・角閃石を含み、その他にも含まれる鉱物の種類や割合によって、さまざまな変化を見せることがある。花崗岩と比べると、より細かい結晶構造を持ち、一般的には、黒色や灰色など暗い色合いが特徴で、粒状の組織を持っている。花崗岩と比べると含まれるクォーツquartz(石英;二酸化ケイ素 SiO2が結晶してできた鉱物。六角柱状のきれいな自形結晶をなすことが多い。)の量が少ないことが特徴である。主に耐久性を求められる場所で使われる。 誕生初期の地球はマグマオーシャンが覆っていたが、花崗岩や安山岩が作られるには最低でも玄武岩などの岩石や水が必要となるので、この時期にはある程度の陸地や海があったと推測される。玄武岩は火山岩に分類されるように、マグマが急速に冷えて固まることで形成される。例えば、火山の噴火によってマグマが地中から地上に噴出すると一気にマグマが冷えるため玄武岩が形成されやすい。また、海底で火山噴火があった場合もマグマが海水に触れることで急激に冷やされて玄武岩となる。ただ、全てのマグマで玄武岩が形成されるわけではなく、玄武岩質マグマといって有色鉱物を多く含み高温で粘り気の低いマグマに限る。つまり玄武岩質マグマはマントルの上部で発生する。マントルの上部には橄欖岩があり、この橄欖岩が部分的に溶けることによって有色鉱物を多く含むマグマができる。 花崗岩類は含水状態の玄武岩質岩石が高温に晒されて部分溶融することで形成することが知られている。 ただ地球の大部分を構成するマントルの橄欖岩を溶融させて花崗岩類を形成するだけではできない。 含水した玄武岩質岩石の部分溶融という条件が達成されるのは、ほとんどの場合プレートの沈み込み帯である。 プレート沈み込み帯では、海洋地殻と大陸下部地殻という2種類の起源の異なるの玄武岩質の地殻が存在しており、どちらも含水鉱物を含んでいると考えられている。 花崗岩類の形成に対して、海洋地殻と大陸下部地殻のどちらの溶融が支配的かは沈み込みの条件によって異なる。 ところが今から41億年前~38億年前にかけてたくさんの天体が集中して地球に衝突した可能性が高いということが、1970年代にアポロ宇宙船が月から持ち帰った岩石を分析したことで初めて明らかになった。このたくさんの天体が衝突した時期を後期重爆撃期と呼ぶ。この時期に衝突したたくさんの小惑星が原因で地球は再び高温のマグマオーシャンに覆われた可能性が高い。マグマオーシャンに覆われればそれまでに形成された地殻もほとんどなくなるので、現在の地球に存在する地殻は誕生初期のまま維持されていると言えなくなる。 地球のような岩石惑星の構成成分を調べてみると、酸素・ケイ素・アルミニウム・鉄・マグネシウム・カルシウムの6大元素となっていて、質量の98%を占めている。これらの6大元素が地球が冷えていくにつれて結晶化して様々な鉱物となっていった。誕生初期の地球で最初に形成された岩石がかんらん岩とされている。この岩石はかんらん石・斜方輝石・単斜輝石などを含んでいるが、その主成分はマグネシウムや鉄などの比重の大きい元素である。 現在ではマントル上部を構成する岩石の一つでほとんどが地下深くに存在しているが、誕生初期の地球では地表にも広く存在していた。ところがかんらん岩は鉄を含んでいるため、周囲のマグマよりも比重が大きく時間が経つと沈み込んでいく。沈み込んだかんらん岩は圧力などで割れて、その割れ目からマグマが噴出して再び新しいかんらん岩が作られるというサイクルが繰り返される。 するとカリウムとアルミニウムが多く、マグネシウムが少ないマグマが地下に溜まっていくが、比重が小さいので、岩の裂け目などから地表に流れ出していき、これが固まったものが玄武岩となり、現在の地球の地殻のほとんどを構成するようになった。 地球上の最初の生命体はいつどのように誕生したのかは、まだはっきりとはわかっていない。それでも、冥王代の後の太古代Archean eon(約38億年前〜25億年前)までには生命活動の証拠が存在しているので、少なくとも40億年ごろには生命は存在していた可能性が高い。 35億年前の地球は無酸素環境だったが、既に生命体が存在し、その一つが硫酸塩還元細菌だったことは以前から知られていた。しかし硫酸塩還元細菌が当時の環境下でどの程度成功した生物であったのか、どのような生命活動を行っていたのかは謎だった。 今から約40億~25億年前、太古代と呼ばれる時代に存在したとされるごく最初期の生命体は、わずか1個の細胞からなる単細胞生物であったため、化石が得られることは非常に困難であった。この時代に生物が存在したことを確認し、活動の様子を推定する手掛かりとなるのが、当時の海底堆積物に残された安定同位体である。 35億年前の堆積物中に還元反応に必要な電子を供給する電子ドナーが環境中に充分存在し、太古代に硫酸塩還元細菌の還元反応が活発かつ安定的に行われていた。硫酸塩還元細菌は、エネルギー源となる硫酸塩の不足に苦しんでいたわけではなく、硫酸塩の代謝に必要な電子を豊富に確保して、広く繁栄していた可能性が高いことが推定された。 これは、微生物の細胞の中で行われる化学反応が、堆積物中に同位体比として記録されていることが数値的に確認できた初めてのケースとなった。 人類を含めた多くの生物は、糖を二酸化炭素に分解することで生命活動に必要なエネルギーATPをつくり出している。この分解の過程では有機物から水素が分離され、その水素から電子が分離されて、酸素に渡される。電子の受容体としての酸素を体内に取り込み、糖の分解で生成された二酸化炭素を吐き出す過程が、酸素呼吸(好気呼吸)である。しかし、酸素が不十分、または全くない状態でも、一部の微生物などは、酸素以外の物質を電子受容体として呼吸を行うことができる。硫酸塩還元細菌は、硫酸塩の分解で生じる硫酸イオンSO42-を電子受容体として利用してエネルギーを生成し、硫化物(硫化水素H₂Sなど)を排出する。 硫酸塩H₂SO₄とは、硫酸イオンを含む無機化合物である。硫酸イオンは安定性の高いイオンで、このままの状態では還元反応が起こりにくいため、代謝過程ではまずATPを使用して、硫酸イオンを反応性が高く高エネルギーを持つアデニリル硫酸 C10H14N5O10PS (APS)に変化させる。APSは過レニウム酸アンモニウムApr(NH4ReO4 ;APS還元酵素)により還元されて亜硫酸塩 H2SO3 となり、亜硫酸塩は別の酵素で還元されて、硫化物イオンS2-となる。 硫酸塩の還元を充分に、かつ速やかに行うためには、豊富な電子が必要となる。海水中では水素などが電子ドナーとなり得るが、太古代の海水中には硫酸塩還元細菌の他にメタン生成菌や酢酸生成菌などの細菌が存在し、それらの細菌も代謝のための電子ドナーとして水素を必要としたと考えられている。堆積物の硫黄同位体分別がAprのものと類似していたことは、硫酸塩還元細菌が電子ドナーの獲得において他の細菌より優位に立っていたと解釈された。 目次へ ![]() |