サンタ・アナの風とメキシコ湾低気圧

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 1)ロサンゼルスの山火事による鉛害
 
 
 
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 1)ロサンゼルスの山火事による鉛害
 ロサンゼルスの山火事によって鉛汚染の問題が深刻化した理由は、火災によって古い建物やインフラが焼失すると同時に、過去に使用されていた鉛を含む塗料や鉛管、そして車の鉛バッテリーが燃え上がり、その鉛の粒子が空気中に拡散したことによる。イートン地区の鉛の主な原因は、1世紀以上前に建てられた古い住宅もあるが、1978年より前に建てられた住宅は、ほぼ間違いなく鉛をベースにした塗料で覆われ、しばしば鉛管を備えていた。
 ロサンゼルスの山火事による鉛汚染に繋がる岩石の具体的な名称については、現在のところ明確な情報は得られていないが、一般的に鉛を含む鉱物としては、化学組成が硫化鉛(II) PbSの方鉛鉱galenaが想定されている。ロサンゼルス周辺の地質には鉛を含む鉱物が自然に存在する地域もあり、火災の影響でこれらの鉱物が崩壊し、鉛の微粒子が空気中に放出された可能性が考えられる。
 
 
 
 19世紀半の1848年、カリフォルニア・ゴールドラッシュにより、ロサンゼルス周辺にも人々が流入した。1876年に大陸横断鉄道がロサンゼルスに接続され、東部からの移住者が急増した。 この時期、柑橘類、特にネーブルオレンジの栽培が盛んになり、農業都市としての基盤が築かれた。
 1892年に、ロサンゼルス市内で油田が発見され、石油産業が急成長した。1920年代には、アメリカ国内の石油消費の大部分を支える地域となり、経済的な飛躍を遂げた。
 20世紀初頭、 映画製作者たちが東海岸から移住し、ハリウッドに映画スタジオを設立した。 1920年代には世界の映画の約80%がカリフォルニアで製作されるようになり、ロサンゼルスは「映画の都」に!!
 急激な人口増加に対応するため、1913年にオウエンズバレーからの導水路(Los Angeles Aqueduct)が完成した。 これにより、乾燥地帯であるロサンゼルスでも都市としての成長が可能になった。
 自動車社会と都市の拡大、 フリーウェイ網の整備により、郊外への人口拡散と都市部.の拡大が進行した。 自動車中心の都市構造が形成され、広大な都市圏を持つメガシティへと成長した。

ロサンゼルスのような乾燥地帯における都市発展は、水資源の確保と管理が鍵を握ってきました。
1. ロサンゼルス導水路(Los Angeles Aqueduct)の建設(1913年) - 背景:19世紀末、ロサンゼルスの人口は急増し、地元のロサンゼルス川だけでは水が足りなくなりました。 - 対策:ウィリアム・マルホランドの指導のもと、約540km離れたオーウェンズバレーから水を引く導水路が建設されました。 - 影響:この導水路により、ロサンゼルスは乾燥地にもかかわらず大都市へと成長する基盤を得ました。 🏞️ 2. 水資源の多様化と広域連携 - 1928年:ロサンゼルスは**南カリフォルニア都市圏水道公社(MWD)**に加盟。 - MWDの役割: - 北カリフォルニアのカリフォルニア導水路や - コロラド川導水路から水を供給。
- 現在の水源構成(例):
- MWDからの購入水:約70% - ロサンゼルス導水路:約18% - 地下水:約10% - 再生水:約1% 🌱 3. 水資源が都市構造を決定づけた - 郊外化の促進:導水路とフリーウェイ網の整備により、水の届く範囲=都市の拡大範囲となりました。 - 農業から都市へ:水の供給が安定したことで、農地が住宅地や産業用地へと転換されました。
環境問題と水の再利用 - オーウェンズ湖の干上がり:導水によって湖が枯渇し、砂塵公害が発生。現在は水位回復のための水還元が義務化。 - 再生水の活用:節水型トイレの普及や、高度処理された再生水の地下水涵養など、持続可能な水利用が進められています。 🧭 5. 都市発展の教訓と未来 - ロサンゼルスの事例は、**「水がなければ都市は成り立たない」**という事実を象徴しています。 - 今後は、気候変動による干ばつリスクや水の公平な分配が課題となり、再生水や雨水利用、地下水涵養などの地域密着型の水循環システムが重要になります。


 
 ロサンゼルスで発生した山火事による鉛汚染 が懸念されている。特に、火災の焼け跡近くに住む住民は、鉛中毒のリスクに直面しているため、ロサンゼルス郡公衆衛生局が無料の血液検査を提供している。鉛は長期的な暴露によって神経毒性や臓器障害を引き起こす可能性があり、特に幼児における危険が指摘されている。
 ロサンゼルス郡は土壌検査のために300万ドルの資金を提供することを決定した。ロサンゼルス郡が土壌のサンプル検査を行った結果、州の許容レベルを超える鉛が検出されたことが報告されている。一方で、アメリカ合衆国の政府機関で、大規模な災害や緊急事態に対応するために1979年に設立された連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、瓦礫の撤去や復旧支援を行っているが、被害地域の土壌検査を拒否している。土壌検査に関しては州や地方自治体が主導する形になっている。この対応について、住民の間では不満の声も上がっている。その理由として、FEMAは被害がなかった土地の検査を計画していないと説明している。一方で、ロサンゼルス郡は独自に土壌サンプル検査を実施し、州の許容レベルを超える鉛が検出されたと発表した。

 ロサンゼルスの山火事によって鉛の粉末が拡散された可能性がある岩石については、詳細な研究が進められている。特に、古い建築物の基礎や周辺の土壌に含まれる鉛が火災の熱によって気化し、粉末状になって拡散した可能性が指摘されている。また、ロサンゼルス周辺の地質には、鉛を含む鉱物が自然に存在する地域もあり、火災の影響でこれらの鉱物が崩壊し、鉛の微粒子が空気中に放出された可能性も考えられている。
 この問題は、特に火災の焼け跡近くに住む住民にとって深刻であり、ロサンゼルス郡公衆衛生局が土壌検査を実施し、鉛汚染のレベルを調査している。今後の研究や対応策が重要になりそうだ。

 鉛は本来、人間の体内にない物質のため、代謝する能力がなく、排出するのが難しい。鉛を大量に摂取する機会はほとんどないので、時間をかけて臓器に蓄積され、障害を起こすのが鉛中毒の特徴で、中毒になると、手足のしびれや便秘といった胃腸の障害などを引き起こすが、特に危険な蓄積場所が脳と言う。脳炎や脳症を引き起こす危険性があり、脳は一度でも損傷されると後遺症が残ってしまうことが多い。完全に治ることは難しい」 「子どもは身体が小さいため、症状が強く出やすい。大人の場合は早めに症状を訴えることができるが、子どもがはっきりと不調を伝えるのは難しい。小児科でいきなり鉛中毒を疑うことはほとんどないので、結果的に悪化するまで時間が経過してしまう。」
 「鉛だけを排出する薬はない。そのため、体内の金属をすべて出す薬を使って治療するので、身体に必要な鉄分まで排出されてしまう。それを補いながら薬を投与しなければならない」

 通常、鉛は自然界にも多量に存在している。例えば石の中にも基準値を超過する鉛が含有されている。他にも家や工場を建てる際に、盛土を行っており、その中に基準値を超過してしまっている土壌が含まれている場合がある。最近では、家のリフォームで塗装されている表面を、やすりがけした時に、鉛の粉塵やヒュームfumeを大量に吸いこんでしまった例も報告されている。
 鉛中毒では、初期の症状として、頭痛や便秘、全身のだるさなど、なんとなく体調が悪い状態が続く。やがて、貧血になって、吐き気や眠気などの症状が出てくるようになる。この他、おなかの突き刺さるような痛みや、手の感覚の麻痺が見られることもある。
 特に、幼い子供が鉛をたくさん身体の中に取り入れてしまうと、脳の障害を起こすことが知られている。脳が障害されると、精神遅滞や行動異常、最悪の場合には、意識障害が起こる。

 現在、日本で鉛は生産・輸入で年間25万tほどが供給され、およそ9割が蓄電池(バッテリー)の電極に使われている。この鉛白という顔料は、その白の発色性の高さから美白化粧品として用いられていた時代もあった。より白い肌が美しさのバロメーターとなっていた時代では高い需要があった。勿論、人体に有毒な鉛を直接肌に塗りつけることであり、使用し続けた多くの人々が鉛中毒によって苦しい思いをしたはずである。
 鉛中毒のほとんどは、鉛の粉塵またはヒューム(高熱で溶けた金属の蒸気が一部固まってできる粉塵より微細な鉛の粒子)を吸って、身体の中に取り入れてしまうことで起こる。
 日本ではかつて白粉に鉛が含まれていたことがあり(1934年に鉛を使用した白粉の製造禁止)、これにより多くの人々が中毒症状により苦しんだと言われている。特に白粉を常用する役者の多くには鉛中毒が見られた。有鉛ガソリンは現在は取り扱いがされていないが、かつてガソリンスタンドがあった土地には地下タンクから漏出し、汚染された状態のまま放置されている可能性もゼロではない。そうとは知らず、その土地を購入し、住居を建てて住んでいたら将来転売が困難になる。
 射撃場は鉛による土壌汚染が懸念されている。過去に伊万里市の射撃場で鉛による汚染が検出された。実は射撃場で使われている弾丸には様々なメーカーの製品があるが、そのほとんどに鉛を使っている。
 射撃場で鉛汚染が問題になるのは、弾丸が土壌中に存在し続けていると、土壌中の鉛含有量が高くなり、雨水などで鉛の成分が溶け出して、地下水に乗って汚染が広がる。
 東京大空襲では東京都内に30万強の焼夷弾がばらまかれた。その焼夷弾にはガソリンが使われており、その添加剤として「鉛」が含まれていた。広範囲に落とされた焼夷弾が鉛という汚染物質を拡散させ、その爪痕が土壌汚染問題となって発見されている。ベトナム戦争時の枯れ葉材は、戦災による自然環境に大きなダメージを与えた。
 鉛汚染の実害としては、アメリカのニューヨークでの鉛汚染があげられる。土壌ではなく塗料に含まれている鉛によって、神経障害が引き起こされ、幼児に至っては発育障害や言語障害がみられることもある。公衆衛生関係者の間では、ニューヨーク市は長年に及ぶ鉛中毒との戦いで、よく知られている。鉛は神経障害などを引き起こす可能性がある有害物質である。
 全米で禁止される18年も前の1960年に、同市は住宅における鉛含有塗料の使用を禁止。2004年の市条例では、6年以内に子どもの鉛中毒を「撲滅」するとの目標を掲げた。
 多くの地区で鉛中毒は根絶しているが、ロイターは2005年から2015年の11年間に検査を受けた5歳以下の子どもの10%以上から高濃度の鉛が検出された、ニューヨークの69地区を特定した。危険地区はニューヨーク中に散らばり、さまざまな人種に及んでいる。古いペンキをはがすことは、危険な行為として知られているが、汚染された土壌や水、おもちゃ、化粧品、サプリメント類など、日常の中にも危険が潜んでいることが、ロイターの調べで明らかになった。
 鉛中毒に関するニューヨーク市の最新報告書では、2015年に血液検査を受けた子ども5,400人から、高濃度とみなされる1デシリットル当たり5マイクログラムかそれ以上の鉛が検出された。しかも800人を以上からは、少なくともその2倍の検出があった。

 火災後、鉛を含む灰や粉塵が地面に降り積もり、土壌汚染を引き起こす。特に、鉛濃度が高い地域では、風や雨によって汚染が広がる。その鉛は神経毒を持ち、長期間の暴露によって発達障害や臓器障害を引き起こす可能性がある。特に幼児や妊婦にとって危険性が高く、ロサンゼルス郡では住民の血液検査を実施するなどの対応が取られている。
 この問題に対して、ロサンゼルス郡は土壌のサンプル検査を行い、州の許容レベルを超える鉛が検出されたと発表した。鉛汚染の影響は長期的なものになる可能性があるため、今後の対策が重要になる。

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